築88年、城下町の豆腐店がカフェに 製茶の見学も

築88年の元豆腐店を改修してオープンしたお茶工房カフェ=小田原市板橋

 小田原市内にある築88年の豆腐店が、お茶工房カフェに生まれ変わった。古民家を生かして新業態を生み出す「旧三福不動産」(小田原市栄町)の取り組みで、今回で5軒目。同社は「古民家を活用させて城下町の魅力を高め、人が集まるようになれば」と期待する。

 古くから宿場町あるいは城下町として栄えてきた小田原には魅力ある古民家が多く存在する。近年はインバウンド(外国人観光客)ブームにも乗り、レトロな観光資源として注目されており、行政も明治~昭和初期の旧別邸などを観光名所として整備している。

 同社は2015年ごろから市内の古民家を買い取ったり、借り上げたりして再生し、主に店舗として開業希望者に賃貸している。これまで元ガラス店が子育て支援スペースに、元薬局がカフェに生まれ変わり、現在は元理容店が再生中だ。

 3月31日にオープンしたお茶工房カフェ「TEA FACTORY 如春園」(同市板橋)は、1932(昭和7)年に建てられた木造2階建ての元「下田豆腐店」。江戸期から大正期にかけて商家でよく見られた、軒が大きく前面に張り出した出桁(だしげた)造りが特徴で、昨年まで使われたという。ただ、水道管や電気配線、ガス管などは傷みが激しく、大規模な修繕を施して再生した。豆腐店の看板はそのまま残してある。

 カフェは市内で10年にわたり栽培している茶農家「如春園」が営む。小田原産の茶葉を使った自社ブランド「こゆるぎ紅茶」は近隣のホテルやレストランで扱われているという。

 喫茶のほか、工房で製茶している作業を見学でき、シーズンにはお茶作り体験のワークショップに参加もできる。園主はかつての土間を工房として活用するなど、豆腐店の間取りが合っていたと説明。「古民家という和風建築の良さがカフェでお茶を楽しむ際の舞台装置となっている」と店舗に選んだ理由を話す。

 午前11時~午後5時。日・月曜定休。問い合わせは、同店、電話0465(20)4361。

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