歴史のあるホイールシリーズ”シュヴァート”の新作SG1
初代から数えると15年以上もの歴史をもつホイールブランド、“シュヴァート”。かつてブラックカットクリアが設定されたSC1、SC2というモデルがあり、人気を博しました。その初心に立ち返って“ブラック×ポリッシュが映えるデザインを”と開発されたのがここに紹介する新作“シュヴァート SG1”。その強い遺伝子を受け継ぐかのごとく、この色ありきで開発された側面を持つのも面白いポイントです。ちなみにシュヴァートとはドイツ語で「剣」を意味しています。
さて、このシュヴァート SG1は、国産車をメインのターゲットとしている。今ならばクラウンやアルファード/ヴェルファイアといった車種がその候補に挙がります。
上下2段に重なり合った星型5スポークは、左右対称の星形ツインスポークを上に、非対称のヒネリの効いたディレクショナルスポークを下に、という段差の効いた2段デザインの組み合わせが新鮮で、ワークでも珍しいデザインです。
この「左右対称×非対称」というデザインコンセプト、全く別のデザインを重ねているのではなく、その2つのデザインをいかに一体感を持たせるかに注力されています。開発デザイナーの嶋村さん曰く「カタマリとしていかに見せるか」という点が苦労したポイントのようです。
アウディなどの欧州車にも似合うシュヴァート SG1
1ピースに比べてリムの深さを強調できる2ピース構造を持ち、旬とも言えるディープコンケーブと、奥まったスポークによる立体感がデザイン上のポイント。国産車向けのブランドだと前述したが、嶋村さんによると「個人的にはアウディなどの欧州車にも非常に似合うデザインだと思っています。ここに用意したブラックカットクリアがメインカラーですが、実はもう一色用意しているグリミットシルバーも市場の反応はいいですね」とのこと。
上下2段の重なり合うデザインが一見して分かるブラックポリッシュとは別に10本のツインスポークのようにも見えるグリミットシルバーは、また違った表情を見せてくれます。光沢、発色のいいシルバー塗装はラグジュアリー感とスポーティ感を同時に演出できそうです。
「リムがいかにカッコ良く見えるかにこだわってデザインしました。そこへの優先順位も高いです。1ピースホイールにはできないデザインとして2ピース構造を採用しています。そこにはデザインとしてピアスボルトの数を多くしたくなかったこともこだわりとしてありますね。2ピースなら構造上ピアスボルトを無しにもできるのですが、やはりピアスボルトの存在は外せない。でも全てをゴテゴテさせるのも嫌で、どこかで引き算したいと。だから数は少なめです。最後はトータルのバランスを考え抜いてまとめました。」
ワークらしいカスタムオーダーにも対応するシュヴァート SG1
シュヴァート SC系の良さであるシャープな切削面と、クヴェル・レグニッツの良さである繊細なスポーク天面の鋳造美。ツインスポーク×上下のダブルデザイン×ツイステッドデザインという3つの要素を盛り込んだSG1。随所にシュヴァートらしさを見せる深いリムを実現するディスク形状など多彩なストロングポイントを随所に盛り込みながらもひとつのカタマリ感を持って成立しているのは、デザイナーの“バランス感”という引き算へのこだわりの姿勢によるものも大きいと言えます。
ブラックポリッシュらしさ…というカラーリングに立ち返った発想点から創造されたこのデザイン美は車両にハマった姿こそがまさに真骨頂。開発デザイン担当の嶋村さんによるとディスクカラーがマットブラックカットクリア、リムアレンジが艶消しブラックアルマイトのカスタムオーダー仕様が個人的なお気に入りのカラーとも教えてくれました。
しっかりとひとつの塊として成立していながら差し色的に上下のディスクカラーを変える、リムカラーを変えるなど、多彩なカスタムオーダープランから自分だけの組み合わせを探るのもオススメ。そのダブルディスクに目を奪われがちですが、王道的な使い方にも抜群にハマるポテンシャルの高さが実に印象的なホイールなのです。
鋳造ホイールでしか成し得ない美しい造形をもつ「クヴェル」と「レグニッツ」
ホイール市場では何かと鍛造製法を崇拝する信者も多いようですが、実は鋳造製法にしか成し得ない繊細な曲面構成の造形美が存在するのをご存知でしょうか。ここに紹介する“クヴェル”と“レグニッツ”はまさにその最右翼とも言えるホイールでしょう。
スポーク表面のカット処理をしない=曲面構成デザインを前提に開発がスタートしたこの兄弟ホイール。もちろん強度はしっかりとワーククオリティで確保した上で、かなり細く繊細に攻めたデザイン目を奪われます。
シュヴァート史上もっとも攻めたホイールデザイン
片や10交点メッシュのクヴェル、片や20本フィンのレグニッツと、デザインは異なるものの鋳造でしか成し得ないデザインをコンセプトとする両者。2ピースホイールでのピアスボルトは通常装飾目的が大半なのだが強度をギリギリまで持たせつつピアス部を薄く作ることでリムの奥深さを獲得、軽量化にも貢献しています。開発デザイナーをもってしても「ここまで正面から細く見えるスポークデザインは今まで無かったですね…」という攻めたデザインなのがヒシヒシと伝わるほど。
まさにヨーロピアンな雰囲気の優美なデザイン。ワークにしか成し得ない美術品のような造形美。ワークのコダワリと技術力が結集した鋳造ホイールの傑作として、ぜひ注目しておきたいものです。