若者と政治のキョリを近づけたい!学生団体ivoteのチャレンジ

例年4月は入学や就職などで新生活が始まる季節ですが、今年は新型コロナウイルスの影響で大学では授業の延期など例年とは違った状況になっています。
選挙ドットコムではこの春に代表が交代した政治・選挙に携わる学生団体のivote代表の伊藤真琴さんとivote mediaの中尾太一さんに、新型コロナウイルスの影響で社会課題や若者の政治への関わりが問われている今だからこそ若者の政治参加・選挙啓発について思うことを聞きました。(インタビューは全てオンラインで行いました。なお本記事中の写真はいずれも新型コロナウイルス流行前に撮影されたものです。)

ivoteの皆さん

中高生に模擬投票イベントを行い選挙をより身近に

選挙ドットコム(以下、選):普段はivoteさんはどんな活動をしているのでしょうか?

ivote代表の伊藤さん(以下、伊藤):都内の学校での模擬投票の実施やSNS上での情報発信、イベントの開催などをしています!

:模擬投票ではどんなことを行っているのですか?

伊藤:自治体の選管さんや学校から模擬投票イベントの実施依頼をいただいて行うのですが、最初に政治や選挙、民主主義についての講話を15分ほど行ったのち、ivoteメンバーが実際の選挙の候補者のように演説をします。そのあと実際の選挙で使われている投票箱や記載台を用いて児童生徒の皆さんが投票をする、という流れです。

:政治や民主主義について学生が中高生に話す、というのは難しそうですね…大変ではありませんか?

伊藤:確かにまったく何もないゼロから作りだすのは大変ですが、ivoteは2008年から活動しているので先輩たちのやってきたことの積み重ねも現在の模擬投票には活きています。
政治について完璧に伝え切る、というのはどんな人でも難しいと思うのでむしろ学生の立場から政治や民主主義についてどう思うのかなど、生徒に近い目線から伝えるのを意識しています。

:なるほど、ivoteの側から模擬投票をする生徒に知識を与えるだけでなく、むしろ模擬投票を通じて経験や学びをivoteの学生も得られているんですね。

伊藤:中学や高校生だとivoteメンバーに対してかなり詳しいことを質問する人もいるので、考えさせられることも多いです!

:模擬投票ではどんなテーマを扱っているんでしょうか?

伊藤:多いのは実際の政治や行政で課題となっていることですね。
例えば少子高齢化がテーマであればそれに対する解決策として子育て支援、結婚支援、外国人・AI活用のそれぞれを模擬投票の候補者たちが公約として掲げて演説をしてどれがいいか生徒に選んでもらいます。

小学校で模擬投票を実施することもあるのですが、その時には学校の先生と相談して児童に身近な給食のメニュー選びをテーマにすることもありますし、中高生向けと同じように実際の社会課題を争点にすることもあります。

:模擬投票の他にはどのような活動を?

伊藤:オンラインで政治や民主主義について考えるイベントも3月に開催しました!これまでのivoteのイベントは都内で開催することが多かったのですが、今回新型コロナウイルスの流行でオンラインで開いたところ関東圏だけでなく地方の方も参加できるようになり思わぬ発見でした。

中尾:他にもivote school というivoteメンバーによる勉強会も定期的に開催しています。扱うテーマは、日本の消費税の仕組みについてだったり、政治と言語の関係―公用語とイデオロギーに関してだったり、様々なものが題材です。

さらに最近ではオンラインの活動が中心なので、メディア事業部にも力を入れており、ivoteのオウンドメディア『ivote Media』にて政治コラムやインタビュー記事などを発信しています。若者とインターネットは強い関係があると思うので、ivote Mediaを通して1人でも多くの若者が政治に関心を持ってくれたらうれしいですね。

ivoteの活動紹介>>

若者と政治の距離が遠い―関心が低い?

:選挙があるとほぼ毎回「低投票率」が問題になります。特に若者―といっても聞いている私も20代なので若者なのかもしれませんが(笑)―の投票率の低さや政治への関心の低さを必ずといっていいほど話題になりますね。ivoteの活動で「若者」自身が中高生という他の「若者」に対して政治関心を高めようという活動をされているお二人はどんな風に考えていますか?

中尾:そうですね…そもそも若者は絶対数が上の世代と比べて少ないです。更には少子高齢化で今後若者の数はどんどん減っていくことになり、若者は社会の中でマイノリティになってしまいます。
選挙は政治に対して声を届ける一番の方法だと思うので投票には行ってほしいなと思っています。

伊藤:ivoteの目標にも掲げているようにやはり「若者と政治の距離を近づける」ことが必要だと思います。
2つやりかたがあると思っていて、一つは「選挙に行くこと・投票率を上げること」。投票・選挙は民主主義の最低条件でもありますし、選挙は若者の政治参加の第一歩です。
もう一つは主権者教育です。主権者教育に道理を尽くした議論や雰囲気を作っていきたいなと思っています。
私たちは学生として政治を身近に感じられない部分にも共感できるので、政治に近い側とそうでない側の両方の目線を大事にしていきたいです。

:これまでも若者の政治参加や投票率向上を呼び掛ける動き、団体や個人など様々な取組がありました。しかしその結果が出ていない現状に対してどうしていきたいですか?

伊藤:正直「普通に」日本で成長してたら政治に対してマイナスイメージを抱いてしまうのは当たり前な気がします。でも政治は必要です。権力が必ずしも悪いものかといえばそうでもないですし、必要ものだと思っています。なのでまずは政治に対するマイナスイメージを払拭するところからやらないといけないのかな、と。

中尾:僕らの身の回りだと選挙に行かなかった人より選挙に行った人を見つけるほうが難しいんです。政治に参加したり投票に行ったりすることに、市民や国民の義務感が薄いのではないか、そしてその根っこを辿れば政治不信があると思います。

ivoteって…意外と政治に詳しい人はいない?! 学生だけで活動するからメンバーによって活動が変わっていく自由さが強み

:最後に今年新たに大学生になる方へのメッセージやivoteの紹介をお願いします!

中尾:ivoteで活動しているメンバーは大学生や高校生です。学生で活動しているからこそ様々な面で自由です。大学に入学して、何かにチャレンジしてみたいという気持ちがあればとてもいい団体だと思います!

伊藤:若者の政治参加や投票率向上を呼び掛けていると、ivoteは啓発団体かな?と捉えられがちなんですが、実はそうでもありません(笑)
意外と政治に詳しい人が集まっている訳ではないので、メンバーになってから色んなイベントや活動に参加していって変わっていくのかなと思います。
大学や学年関係なく様々な人が所属しているので、色んな仲間ができ、教え合える環境です。若者と政治の距離を近づけるために様々な活動を一緒にしていきたいです!

:本日はありがとうございました!

 

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