ファイヴ・セカンズ・オブ・サマー『カーム』 常に進化と成長を続けるロック・バンド

ファイヴ・セカンズ・オブ・サマー『カーム』

 2011年オーストラリアの中学生たちが結成、13年ワン・ダイレクションのオープニング・アクトを務め、14年にアルバム・デビュー。以降3作連続して全米チャート1位を獲得するという偉業をはたし、“世界最強の新世代ロック・バンド”とローリング・ストーン誌に称賛された5SOSの4枚目のアルバムです。

 当初演奏ができるアイドル・グループ程度に思われていましたが、1枚目、2枚目で聞かせてくれたのはポップ・パンクとミュートがきいたパンク・ロック。3作目の『ヤングブラッド』ではスケール感あるジャンルレスなロックを披露してくれました。進化が止まらない彼らの今作は果たして“温故知新”という言葉が当てはまる斬新な作品です。

 結成10年というキャリアと、平均年齢24歳という若さが、前人のロックのエッセンスを躊躇なく自分たちのものにする離れ業を可能にしたのです。70年代のクイーンやイーグルスのようなヴォーカル・ハーモニー、80年代のエレクトロ・サウンド、そして90年代のイン・シンクのようなポップ・サウンドを見事に現代に再生しているのです。

(ユニバーサル・2500円、デラックス盤3200円+税)=北澤孝

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