「にまいぜんぶ」の臨時休校

 この季節には合わないが、心弾むような一句が「こども歳時記」(小学館)にある。〈カレンダー いちまいぜんぶ なつやすみ〉。8月の1ページ分、さあ、何をしよう。わくわくした感じが伝わってくる▲今年の暦は例年と違っている。新型コロナウイルスの影響で、県内の小中学校、高校の多くは、3月に入って臨時休校になり、休みは新学期になるまで続いた▲その間、参加者は例年よりも少なく、歌の合唱もない卒業式があった。家からあまり出られず、息の詰まるような思いで過ごす子どもが多かった。「わくわく」からは遠い「いちまいぜんぶ」の休みだったろう▲緊急事態宣言が全国に広がったのを受け、きょうまでに再び、県内の学校は2週間ほどの臨時休校に入る。なるだけ家にいよう、と言われて過ごす大型連休は過去にない▲新学期に学校再開したことで、感染を不安がる向きもあった。親しい小学校の先生は「教室で机を離そうにも50センチが限度」と現場の密集、密接を案じていた。一方でいま、また休校になって授業が進められないと案じている。このままでは、子どもの「教育を受ける権利」も損なわれかねない▲3月に続いて、4月の多くの日も休みとなる。子どもも親も先生も、カレンダーに目をやれば心浮かない「にまいぜんぶ」に違いない。(徹)

© 株式会社長崎新聞社