家賃が払えない…収入減少者への家賃補助制度とは?4月から対象者拡大

新型コロナウイルス感染症の影響で、休職等に伴い収入が減少している人は少なくありません。収入がなくても毎月の家賃の支払期日はやってきます。家賃を滞納して即刻退去を求められないとしても、3ヵ月も滞納が続くとトラブルに発展し、住まいを失ってしまう恐れもあります。

以前から、生活困窮者に対する家賃補助制度(住宅確保給付金)がありましたが、4月20日から対象者が拡大されました。厚生省から市町村等の主管部局への事務連絡によると、住居確保給付金の支給対象の拡大に係る申請受付等も順次行われるようです。


家賃補助制度の仕組み

もともと、離職や廃業などで、住宅を失ったり、失う恐れがある人に対して、住宅確保給付金を支給して安定した住まいの確保したうえで、仕事に就いて自立することを目的とした制度です。これは、家賃の代理納付をしてくれる仕組みとなっており、まず、窓口(生活困窮者自立相談支援機関)に申請します。要件を満たしていれば、都道府県や市・区などから直接、家主さんへ家賃が支払われます。原則は3カ月の支給(代理納付)ですが、最大9カ月まで延長が可能です。

4月から対象者が拡大

これまで、離職・廃業後2年以内の65歳未満の人が対象でした。この対象が拡大され、65歳未満という年齢要件が撤廃されました。これは、4月1日から施行とされます。

さらに、離職・廃業後2年以内という要件が緩和され、その人の責任やその人の都合で給与等が減ったわけではない場合、収入が減少したときにも適用が受けられることとなります。新型コロナウイルスの影響で、失業、休職、自宅待機、収入が減ったフリーランスの人も対象となります。

ただし、収入が減少する前において、世帯生計を主として維持していた人(いわゆる一家の大黒柱)が対象です。また、職業訓練受講給付金などを受けている場合はこの制度の対象となりません。

また、以前は、月4回の自立支援相談機関への相談(面談)と、月2回以上のハローワークへの職業相談および週1回以上の応募等が要件でした。改正後は、この要件が緩和され、自立支援相談機関への相談は電話等での状況報告を可能とし、ハローワークへの職業相談等の回数は減免されます。

支給要件

支給要件には、収入要件と、資産要件があります。いずれも地域により基準額が異なります。

収入要件は、世帯収入合計額が「市町村税均等割が非課税となる収入額×1/12+家賃額(住宅扶助特別基準額が上限)」以下であることです。

具体的には東京都特別区の目安とすると、単身世帯:13万8,000円、2人世帯:19万4,000円、3人世帯:24万1,000円になります。

資産要件は、世帯の預貯金合計額が、単身世帯:50万4,000円、2人世帯:78万円、3人世帯:100万円以下(東京都特別区の目安)であることです。

支給額

支給額も地域により異なります。

例えば、東京都特別区の場合、支給額(代理納付額)は単身世帯:5万3,700円、2人世帯:6万4,000円、3人世帯:6万9,800円となります。

申請に必要なものは?

・本人確認の写し(運転免許証・個人番号カード等)
・離職書類関係(離職等を確認できる書類、または本人の責任でないことで収入が減少し、離職・廃業と同程度の状況を確認できる書類)
・収入関係書類(申請者と申請者と生計一の者の収入が確認できる書類)
・金融資産関係書類(申請者と申請者と生計一の者の金融機関の通帳等の写し)

この状態がいつまで続くか先が見えません。家賃の支払いに不安がある場合は、自治体の生活困窮者自立相談支援機関(全国1317か所)にご相談ください。

また情報や申請の仕方等も更新されていきますので、実際の手続き内容や申請書類等は窓口に確認をお願いします。

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