長崎停泊クルーズ船でクラスター 自粛要請後90人下船、災害派遣要請

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停泊しているクルーズ船から新たに33人の感染者が出たことについて話す中村知事=県庁

 長崎県は22日、長崎市香焼町の三菱重工業長崎造船所香焼工場に停泊しているクルーズ船コスタ・アトランチカ(イタリア船籍・8万6千トン)の船内で、新たに乗組員33人が新型コロナウイルスに感染したと発表した。すでに感染が判明している1人と合わせ、船内の感染者は計34人となった。
 県によると、検査した57人のうち24人は陰性だった。陽性33人のうち40代男性は重症化の恐れがあるとして、市内の指定医療機関に搬送された。乗組員は計623人で、残る全ての乗組員についても検査を進めている。同日の会見に出席した厚生労働省クラスター対策班の鈴木基(もとい)氏は、船内でクラスター(感染者集団)が発生したとの認識を示した。
 県は感染拡大防止のため3月13日に乗下船の自粛を要請しており、修繕を受注した三菱重工の子会社、三菱造船の椎葉邦男常務執行役員は「14日以降、乗組員の乗下船はない」と県に説明していた。しかし、福岡出入国在留管理局によると、3月15日から4月15日までの1カ月間、下船した乗員は約90人、乗船したのは日本人1人を含む約40人に上っている。同局は「観光目的などでの下船許可は一切してない」とした上で、「ほかの船に乗り換えた可能性はある」としている。
 同社は4月22日の会見で説明を一転させ、3月14日以降も乗下船は続いており、タクシーなどで市内の病院に通院したり、帰国のために空港に向かったりしていたケースもあったとした。
 椎葉常務執行役員は「乗組員が町中をうろうろして、危険な状態にさらすことはないという理解で(乗下船はないという)表現をした。しっかり調べて改めて報告したい」と釈明した。中村法道知事は「乗下船はないと安心していたので残念」と不快感を示した。田上富久長崎市長は「対策を立てて市民に情報提供したい」と語った。鈴木氏は「これまでの知見から(船内の)クラスターから市中に二次感染を起こすリスクは低いと考えている」とした。
 また、知事は乗組員の検体採取で自衛隊に災害派遣を要請。知事は調理担当ら船内の運営に従事する「エッセンシャルクルー」130人の健康管理に取り組むとともに、陰性の人はできるだけ早く帰国させ、陽性の軽症者らは船内にとどめることや、重症者を指定医療機関で受け入れる方針を示した。
 県内の感染者受け入れ病症は102床で、クルーズ船の乗組員1人を含む13人が入院している。ただ重症者を受け入れられる病床は限られている。
 菅義偉官房長官は首相官邸であった記者会見で「県などと連携して感染拡大防止に適切に対応する」と述べた。