バラに囲まれて絵本読もう 平塚に24日、観光農園誕生

食用バラを育てるビニールハウス内で絵本を読むことができる観光農園「きいろいおうちfarm」=平塚市城所

 バラを見ながら親子で読書を─。食用バラや野菜などを栽培しているビニールハウスの中で、くつろぎながら絵本を読んだり、農業を体験したりできる異色の観光農園「きいろいおうちfarm」が24日、平塚市城所にオープンする。バラ農家の横田園芸と絵本による子育て活動などを続けている絵本講師の内田早苗さんがコラボレーション。内田さんは「本を売る農園は全国で初めてかも。自然の中で本を読める新鮮な体験を味わって」と呼び掛ける。

 4月中旬、約600平方メートルのビニールハウスには、一足早くオレンジ色の「花菜ローズ」が大輪を咲かせていた。「本とは関係ない異業種の人と組んで絵本が読める場所を作りたかった」と内田さん。ハウス内で野菜や食用バラなどを育てていたスペースに本棚とテーブルを並べ、親子が絵本を楽しむ場所にした。

 閲覧用として用意した絵本は150冊ほど。「自然を美しく描いた絵本を選んだ」(内田さん)といい、一部は販売もする。

 同園芸は4種類の食用バラを専門に育てており、年間約1万輪を出荷。「無農薬、無肥料を徹底し、自然の力を上手に使って育てている」と横田敬一代表は胸を張る。ただ受注は都内の飲食店が中心で、今シーズンは新型コロナウイルスの影響で注文が7割減った。

 「今のまま食用バラを売るだけでは厳しい」と以前から販路拡大を模索していたところ、講演会を通じて内田さんと知り合い、観光農園を企画。「絵本好きの親子連れが実際に農園を訪れれば、新しい購買層の開拓にもなる」と横田さんは期待を寄せる。

 バラは4月下旬から5月にかけてが見頃。コロナ感染予防のため当面はホームページからの予約制とし、人数を制限する。バラを使った飲み物を提供し、切り花やジャムも販売予定。今後はバラとともに育てている野菜の農業体験メニューなども考案中だ。

 内田さんは「子どもとお母さんが絵本を読んで、お父さんは農業体験に汗をかく。親子全員が楽しめる場所にしたい」と期待を膨らませている。入場料大人千円、子ども300円。

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