WRC:参戦全メーカーは5月31日までテスト禁止。トヨタの2021年型車両開発に影響か

 FIAでラリー・ディレクターを務めるイブ・マトンは、WRC世界ラリー選手権に参戦している全ワークスチームにテスト禁止を伝達していると明かした。これにより、2021年に新型マシン導入を予定しているTOYOTA GAZOO Racing WRTの計画にも影響が出ているようだ。

 トヨタは2020年内の市販を予定しているGRヤリスをベースとした新型WRカーを2021年のWRCに投入する計画を立てており、2月にはフィンランドで雪上テストを行うなど車両開発を進めている。

 しかし、トヨタのほかヒュンダイやMスポーツが拠点を構えるヨーロッパ圏では新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大防止策として都市封鎖(ロックダウン)や外出自粛/禁止令が出されている地域もある。

 ただヒュンダイが拠点を構えるドイツやMスポーツが拠点を構えるイギリスは都市封鎖により活動が制限されているものの、トヨタが拠点を構えるフィンランドはそこまで厳しい対策は行われていないため、テストを行うことは可能とみられる。

 しかし、FIAはこれら3メーカーに対し、5月いっぱいのテストを禁止するという伝達を行ったようだ。

 マトンはアメリカのラリー専門ニュースサイト『DirtFish.com』に対し、「新型コロナウイルスが引き起こした危機的状況下で、特定のチームがアドバンテージを得るような状況を望んではいない」と述べている。

「そのため、WRCコミッションやWMSC(世界モータースポーツ評議会)に現時点でのテスト禁止を決定するよう依頼した」

「2021年に向けて、トヨタが開発を進めたいという意向を持っているのは分かっている。だが、対する2チームが何を考えているかも分かる。たとえ新型マシン開発のために行うテストでも、そこで集めたデータは現行マシンにも転用でき、結果としてアドバンテージを得られる」

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