“リモート難民”を救うには? なぜ進まないリモートワーク

TOKYO MX(地上波9ch)朝のニュース生番組「モーニングCROSS」(毎週月~金曜7:00~)。4月14日(火)放送の「オピニオンCROSS neo」のコーナーでは、ジャーナリストの長友佐波子さんが、リモートワークの現状や対策などを述べました。

◆仕事や授業のリモート化、なぜ進まない?

新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、リモートワーク(テレワーク)を取り入れる動きが広がっているなか、都内でリモートワークを実施している中小企業の割合は、26%にとどまっていることが東京商工会議所の調べでわかりました。

また、リモートワークの実施について「予定はない」とする企業が54.4%。その理由として「社内の体制が整っていない」が42.3%、「パソコンなどの機器や通信環境が十分でない」が31.7%を占めています。

上記の調査結果に加え、長友さんは「(実施率26%は)全体の数で、このうち従業員数が50人未満の会社だと、リモートワークを実施しているのは14.4%しかない」と補足。さらには「3分の2の中小企業はやっていない。日本の場合、大企業は(全体の)1%未満。従業員数で言っても、大企業は(全体の)3割なので、7割の方は中小企業で働いている。そこでリモートワークが進まなかったら、全体で見て進まないのは当たり前」と現状を解説します。

リモートワークが導入できない理由として、社内体制の不備、機器や通信環境などハード面の問題などが挙がっていましたが、そもそも「授業や仕事で『リモートにしろ』と言われても、できない人たちが実際にいる」と長友さん。

例えば、"中小零細企業で機器がない”、飲食店など"その場に行かなければできない職業”、派遣社員や若者など自宅で勉強や仕事をするためのパソコンやタブレットを持っておらず"会社や学校が対応してくれないとできない人たち”、貧困家庭で機器がないなど、事情はさまざま。

そして、総務省が発表した「情報通信白書」(2019年度)の世代別・年収別のインターネット利用率によると、年収200万円未満の世帯ではおよそ半数、年収200~400万円未満の世帯でもおよそ3割はインターネットを使っていないというデータが。

また、別のアンケート調査では20~30代の約3割がパソコンを持っていないという結果も(2018年度)。

こうしたデータからも、「『仕事を持ち帰って、自宅でしてください』と言われても、パソコンがないからできないという環境にいる人たちがこのくらいいる。そうなると会社で用意しなければならないけど、できていない」と現状について触れます。

◆リモート難民を救うには?

そこで、授業や仕事においてリモート化を進めるためにも、長友さんは「現物支給しかない」と声を大にし、「先生たちの間では"リモート授業をやろう”という取り組みが進んでいて、それもいいことだとは思うけど、全ての児童がリモート授業を受けられるように、機会を均等にするために一番簡単なのは、タブレットやパソコンを配ること。政府が国産メーカーの機器を買い上げて、配れば産業育成にもなる」と主張。

同様に中小企業に関しても、「リモートワーク推進のための補助金はあるけど、経営者は金策に走り回るなかで、それどころではない。それよりも現物を支給してくれて、使い方を教えてくれる人を派遣してくれないとなかなかリモートワークは進んでいかない」と語気を強めていました。

「SmartNews」コミュニケーションディレクターの松浦シゲキさんも、長友さんの意見に同意しつつ「リモートワークしなければ……という切迫したタイミングだと思う。手段を整えるための環境がない限りは(リモートを)実行できないので、補助的なことも含めてどんどん優先するべき」と話していました。

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<番組概要>
番組名:モーニングCROSS
放送日時:毎週月~金曜 7:00~8:00 「エムキャス」でも同時配信
レギュラー出演者:堀潤、宮瀬茉祐子
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/morning_cross/
番組Twitter:@morning_cross

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