オンライン授業、児童ら終始集中 長崎市立南小中学校 「子どもの学び止めない」 小規模をメリットに

画面に表示される児童の表情をチェックしながら授業を進める教諭=市立南小中

 長崎県内の公立小中学校が休校に入り、授業の遅れが懸念される中、長崎市千々町の市立南小中(岡田政宏校長、児童10人、生徒2人)は、22日からビデオ会議アプリ「Zoom(ズーム)」を利用したオンライン授業を開始。岡田校長は「先行きが見えない状況だが、子どもの学びを止めてはいけない」と強調する。
 「気を付け。みなさん、おはようございます!」
 23日午前9時。女性教諭(32)があいさつすると、がらんとした教室に児童の元気な声が響いた。「おはようございます!」
 小学5、6年生の算数の授業。教諭の前に置かれたパソコン画面には、児童4人の顔が並ぶ。「××さん、ここまで大丈夫?」。黒板に書く文字の大きさ、声量や話す速さに注意しつつ、一人一人の反応を見ながら授業を進める-。それは普段の授業風景と変わらない。児童らは終始集中した様子で、40分間のオンライン授業は終わった。
 南小中が1日2、3コマで実施する遠隔学習。PTAと協議を重ね、約2週間で準備した。市教委から貸与されたiPad(アイパッド)にアプリをインストールして各家庭に配布、公衆無線LAN「Wi-Fi」をつなげば複数人が同時に授業を受けることが可能。Wi-Fi環境が家庭にない児童は学校で学習。
 3月の休校時は宿題をプリントで配布した。男性教諭(38)は「理科の実験は実際に目の前にいないので説明や理解が難しいと思うが、題材によって遠隔学習は効果的と思う」と話す。
 6年の山崎隼斗君(12)は「自宅で授業を受けるのは新鮮。学校で勉強したいけど、みんなとオンラインで会えるのはうれしい」と喜びの声。3年と1年に子どもが通う同市大崎町の山崎真里奈さん(30)は「学校の対応は本当にありがたい」と感謝した。
 教諭による自宅からの授業配信も。岡田校長は「生徒が少ないからこそ端末も各家庭に配布でき、小規模校のメリットを生かせた。今後も『ウチの学校だからこそできること』を常に考えていきたい」と語った。

集中した様子で授業を受ける児童=長崎市大崎町

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