長崎県が休業要請 「仕方ない」「急すぎる」 県内事業者 諦めと不満

臨時休業を知らせる紙が貼られた受付=長崎市大橋町、長崎ラッキーボウル

 新型コロナウイルス感染拡大防止策として、県が遊興施設などに休業を要請した24日、対象となった県内業界からは不満や諦めなどさまざまな声が上がった。「感染が広がり仕方ない」「明日からとは急すぎる」-。それぞれ思いを抱え、要請初日を迎える。

 「要請と言うが、半強制みたいなもの」。長崎市で居酒屋2店舗を営む男性(48)は、午後8時までの営業自粛要請に憤る。
 今月の売り上げが通常の2割に落ち込む中、家賃や人件費に充てるため最長で午前0時まで店を開けてきた。今回の要請で営業はわずか2時間。少しでも売り上げを伸ばしたいが、営業することでの風評被害を懸念する。「店の看板は守らないといけない。休むしかないのか…」
 同市内で飲食店を経営する男性は「いきなり要請を出して、明日からとは急すぎる」と猶予期間を設けずに休業要請が始まることに疑問を呈した。
 要請に安堵(あんど)の声も。同市の長崎ラッキーボウル店内には、臨時休業の紙が貼り出された。4月に入って赤字が続く一方、県外の利用希望者から問い合わせもあり、支配人は「断るのが心苦しい半面、感染も怖かった。ようやく自粛要請が出たという思い」と話した。
 事業所への協力金は30万円。佐世保市の居酒屋オーナー、豊村明希子さん(41)は、県の要請に従う予定だが「30万円では1カ月の家賃や給料は払えない」とため息。長崎市でネットカフェを運営する事業者は従業員の健康を守るため、既に3日前から自主休業に入っていた。「店内を細かく区切り、客同士も会話しないので『3密』ではない」と反論しながら、協力金について「収入減を補うには足りないが、ないよりはマシ」と受け止めた。
 パチンコ店を巡っては、他都府県で休業要請に応じず営業を継続する店舗が出ており、3密を懸念する市民からの風当たりが強い。県内でパチンコ店を展開するある事業所は「要請に応じて感染拡大防止に努める」と県内16店の営業を中止する。
 営業を継続する事業所も。長崎市のスポーツジムは「営業していると感謝の声もある」と需要を語り、時間短縮や運動中のマスク着用などできる限りの対応をして営業する方針。
 一方、要請の対象外となった理美容店。同市の美容院の男性スタイリスト(45)は「生殺しみたいな状態。感染への恐怖感もある」と話す。客は来るが、カットなど短時間ですむメニューが中心で売り上げは伸びない。「先が見えない。休めるものなら休みたい」とつぶやいた。


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