貯めた「マイル」はどうなる? 各航空会社の対応と取りうる対策

ゴールデンウィークが目前に迫っていますが、今年は新型コロナウイルスの感染拡大により、旅行の計画を断念された方がほとんどだと思います。コロナ禍終息の見通しが立たない今、ゴールデンウィークどころか、夏休みの旅行の計画すら立てるのが難しい状況です。

こうなってくると気になるのが、これまでに貯めた航空会社のマイルの有効期限です。マイレージをたくさん貯めたはいいが、新型コロナの影響でマイルを使う場面がなくなってしまい、せっかくためたマイルが有効期限切れになってしまうのではないかと心配している方も多いのではないでしょうか。


大手2社の対応

JALとANAの国内大手2社は、マイレージ会員に対して以下のような救済措置を講じています。

【JAL】
2020年2月から2020年7月末までに有効期限をむかえるマイルとeJALポイントについて、有効期限1年間のeJALポイントを積算。有効期限をむかえたマイルは、1マイルを1.5eJALポイント換算として、eJALポイントを積算。有効期限をむかえたeJALポイントは、同数のeJALポイントを積算する。(要事前登録)

【ANA】
2020年3月31日から2021年2月28日までに有効期限をむかえるマイル、ANA SKYコインについて、2021年3月31日まで有効期限を延長。(事前登録は不要)

JALは有効期限が切れたマイルをeJALポイントに換算して、期限を延長する一方、ANAはそのまま有効期限を1年を延長する形です。2社で対応が少し異なるので、両方でマイルを貯めている方は少し注意が必要です。ただ、せっかく貯めたマイルが無駄になってしまうような心配はひとまず回避できそうです。

デルタ航空やユナイテッド航空は、上級会員資格の有効期間延長措置を発表するなど、海外の航空会社もマイレージ会員に対して柔軟な対応を取っています。

マイルが失効してしまう心配はひとまずなさそうですが、新型コロナウイルスの感染拡大がいつ終息するのかは、いまだに見通しが立ちません。これまで通り飛行機に乗るのはしばらく先だなと考えている方は、JALならWAON、ANAなら楽天edyと貯めたマイルを電子マネーに交換するのがいいかもしれません。

航空会社が破綻した場合は

マイルの有効期限については、各航空会社が柔軟な救済措置を講じてくれていますが、航空会社が経営破綻してしまった場合はどうなるのでしょうか。

4月21日には、オーストラリアのヴァージン・オーストラリア航空が事実上の経営破綻に追い込まれたというニュースが入ってきました。ヴァージン・オーストラリア航空はカンタス航空に次ぐ、オーストラリア2番手の航空会社で、今年の3月からANAと提携して日本路線にも参入する予定のエアラインでした。新型コロナの影響で需要が減少し、経営破綻する航空会社は今後も続々と出てくると予想されています。

経営破綻となると、さすがに貯めたマイルもゼロになってしまうのではないかと心配になりますが、過去のケースでは「セーフ」でした。JALは10年前に経営破綻しましたが、当時貯めたマイルは失効することはありませんでした。ユナイテッド航空やデルタ航空も過去に経営破綻していますが、やはりマイルは失効しませんでした。

仮に航空会社が経営破綻しても、政府の支援を受けて事業を継続していたり、他の航空会社と統合されたりした場合は、貯めたマイルは何らかの形で継承されることがほとんどです。過去のケースから考えれば、マイルの心配はしなくて大丈夫そうだといえます。

ただ、絶対に大丈夫だとも言い切ることはできません。経営破綻した航空会社が事業を継続せず、完全に消滅してしまうような場合は「アウト」です。2001年に倒産したアンセット・オーストラリア航空のマイルは、何の救済措置もなく、完全に無効になってしまいました。

航空会社は各国の重要な交通インフラ企業なので、新型コロナの影響で経営危機に陥っても、大手エアラインは各国政府が救済して事業を継続する可能性が高いと予想できます。ですが、新型コロナウイルスの感染拡大が収まらず、次々に航空会社が経営破綻に追い込まれて政府も支援しきれないという状況になれば、アンセット・オーストラリア航空のような最悪のケースが起きても不思議ではありません。

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