北太平洋の女王、静かな卒寿 横浜・山下公園「氷川丸」が90年 

90回目の誕生日を迎えた日本郵船氷川丸=25日、横浜市中区

 「北太平洋の女王」と称された日本郵船氷川丸が25日、係留されている山下公園(横浜市中区)前で竣工(しゅんこう)から90回目の“誕生日”を迎えた。新型コロナウイルス感染拡大の影響で臨時休館が続いているが、マストに「船名符字」と呼ばれる4枚の国際信号旗や日の丸を掲げて祝った。

 第28代の金谷範夫船長(69)は「2月末から休館が続いており、氷川丸はさみしがっている。コロナ禍が終息したら記念イベントを催したい」と話した。日本郵船は動画投稿サイト「ユーチューブ」の公式チャンネルで船内を公開し、自宅から誕生日を祝ってもらうことにしている。

 氷川丸は1930年に横浜で建造され、横浜とシアトルを結ぶ北米航路に就航した貨客船。太平洋戦争時は病院船、戦後は引き揚げ船となった。

 北米航路に復活し再び貨客船となったが60年に引退し、翌年から山下公園前に係留。横浜港のシンボルとして親しまれ、2016年には国重要文化財に指定された。

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