休業や時間短縮…要請初日の週末 長崎県内、対応バラバラ

営業自粛の要請よりも早く午後7時にのれんを下ろす店=長崎市油屋町

 「今は我慢のとき」「家族のため収入が必要」-。新型コロナウイルス感染拡大防止策として県が遊興施設などに休業や時間短縮を要請した初日の25日、要請に応じる居酒屋などがある一方、通常営業を続けるパチンコ店もあり、対応が分かれた。県内の繁華街、商店街では人出に大きな変化はなく、家族連れらが買い物をする姿が見られた。
 普段は夜になると酔客でにぎわう長崎市の銅座、思案橋地区。だが、この日はほとんどの店がシャッターを下ろし「臨時休業」などのお知らせを貼った居酒屋などが目立つ。県の要請では飲食店が酒を提供できるのは午後7時まで。同市油屋町の居酒屋は同7時、営業自粛の要請より1時間早く閉店した。テークアウトの客はいたが、店内で飲食する客はゼロ。店長(25)は「今は我慢のとき。外出を自粛して、早く収束してほしい」と祈るように話した。同町の別の店の40代店主は「補償がいつ出るのか分からない」と同8時以降も営業を継続。「収束しても飲み会をしにくい雰囲気は残るだろう」と不安を口にした。
 同市住吉町のバーの代表(32)は、午前2時だった閉店を同日から午後7時に変更。開店を午前11時と大幅に早め、サンドイッチなどのテークアウトも始めた。店頭販売分は売り切れたが、日中に酒を飲みに来る客はない。それでも「閉めたら楽なのかもしれないが、家族のために収入が必要」と、要請解除までは今の態勢を続ける予定だ。
 同市岩川町の居酒屋で夕方から酒を楽しんでいた男性2人組は「感染者が増えているので仕方がない」。午後8時に店の営業が終わった後は家路に就くという。
 同市元船町のパチンコ店入り口では、午前10時前、15人ほどの客が開店を待っていた。ほとんどの人がマスクを着用していたが隣との距離は近い。同市内の無職の男性(77)は「自分たちはパチンコ難民」と苦笑い。普段は旭町の店に通うが、この日から休業しており、ネットで調べたり友人に聞いたりして営業している店を探し出したという。「もちろん感染の不安はある。でも店内で隣の客と話すわけではないからね」
 一方、同市やその近郊の商店街では、食品や生活必需品を扱う店などが営業。買い物客が行き交う日常の風景が広がった。
 市中心部にある浜町のアーケードで、手作りマスクなどを販売している雑貨店は通常営業。店内で客同士が近づきすぎないよう声掛けをしているが、嫌な顔をされることもある。「お客さまを守るためなのに。長崎の人は危機感がないように感じる」と残念そう。
 野菜や精肉など対面販売が多い新大工町商店街。鮮魚店の店員は「先週より人通りが多い気がする。商業施設が休業になっている影響があるのかな」と話した。

 


© 株式会社長崎新聞社