ノーヒッター0回の「最高の投手」 クレメンス、マダックスら

アストロズのサイン盗みの「告発者」として注目を浴びたマイク・ファイアーズ(アスレチックス)は、これまでに2度のノーヒッターを達成しているが、現在34歳で通算69勝。引退後にアメリカ野球殿堂入りする可能性は限りなくゼロに近い。このように、ノーヒッター達成者は必ずしも超一流の投手とは限らない。逆に、ノーヒッターを1度も達成できなかった「レジェンド」も多数存在する。メジャーリーグ公式サイトのアンソニー・カストロビンスは、そのなかから5人をピックアップしている。

通算354勝、4672奪三振、サイ・ヤング賞7度、MVP1度という輝かしい実績を誇るロジャー・クレメンスは、1度もノーヒッターを達成していない。2000年のリーグ優勝決定シリーズ第4戦(対マリナーズ)では6回まで無安打に抑え、15奪三振で1安打完封をマーク。1988年9月10日のインディアンス戦でも1安打完封を記録したが、ノーヒッターは最後まで達成できなかった。

ペドロ・マルティネスは、1995年6月3日のパドレス戦で9イニングをパーフェクトに抑えた経験がある。しかし、試合は両軍無得点のまま延長戦に突入。10回表に味方打線が先制点を奪ったが、10回裏の先頭打者に二塁打を浴び、無念の降板となった。全盛期(1997~2003年)の7年間には被打率.196をマークするなど相手打者を圧倒したが、ノーヒッターを達成することはできなかった。

「100球未満での完封」にその名を残すグレッグ・マダックスも、ノーヒッターを達成していない名投手の1人だ。17年連続15勝以上(1988~2004年)を含む通算355勝を挙げたが、残念ながらノーヒッターとは縁がなかった。

通算329勝、4136奪三振、サイ・ヤング賞4度を誇る名左腕スティーブ・カールトンも、6度の「ワンヒッター」を記録する一方で、ノーヒッターとは無縁だった。「ワンヒッター」6度は、ノーラン・ライアン(12度)、ボブ・フェラー(12度)、ウォルター・ジョンソン(8度)に次ぐ歴代4位タイの数字である。

歴代2位の通算90完封を誇るピート・アレクサンダーも、ノーヒッターを達成していない。防御率1.22をマークした1915年には、なんと4度の「ワンヒッター」を記録。同年6月5日のカージナルス戦では9回二死まで無安打に抑えたが、ヒットを許して快挙達成を逃した。

このほか、マイク・ムシーナ、ファージー・ジェンキンス、レフティ・グローブ、ドン・サットン、キッド・ニコルズ、モーデカイ・ブラウン、エディ・プランク、ロビン・ロバーツ、ドン・ドライスデール、ホワイティ・フォード、アーニー・ウィンといった殿堂入り投手や、将来の殿堂入りが有力なカート・シリングとCC・サバシアもノーヒッターを達成していない。また、ノーヒッター未経験の「最高の現役投手」には、ザック・グレインキー(アストロズ)の名前が挙げられている。

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