パドレス・イエーツ 「戦力外」から最強のクローザーへ

昨季メジャー最多の41セーブを挙げ、自己ベストの防御率1.19をマークして「オールMLBチーム」の一員に選ばれたカービー・イエーツ(パドレス)は、決してエリートとして期待されてきた存在ではなかった。プロ入りはドラフト外であり、これまでに金銭トレードとウエーバー移籍を2度ずつ経験している。しかし、パドレスのスカウト陣が注目した才能が本格開花。ただし、それはパドレスの期待をはるかに上回るものだった。

2016年10月、イエーツはウエーバーでヤンキースからエンゼルスへ移籍。この年、イエーツは自己最多の41試合に登板したものの、防御率5.23という不本意な成績に終わっていた。

2017年4月、マイナー・オプション切れとなっていたイエーツは、エンゼルスからDFAとなり、ウエーバーにかけられたが、獲得を希望する球団は現れず、AAA級ソルトレイクへ降格となった。ここでイエーツは現在の武器であるスプリッターを本格的に使い始めることになるのだが、そのピッチングに注目したのがパドレスのスカウト陣だった。

2017年4月22日、AAA級で好投していたイエーツは、メジャーの試合で登板する機会を与えられた。4点リードの8回途中からマウンドに上がったが、ケビン・ピラーとジャスティン・スモークに本塁打を浴びて3失点。チームは1点差で逃げ切ったものの、エンゼルスでの登板はこれが最後となった。

翌日にDFAとなったイエーツを、パドレスは獲得に成功。当時30歳のイエーツは「これがメジャーで投げられる最後のチャンスかもしれない」と思っていたという。一方、パドレスの評価は「クローザーは無理かもしれないが、7回や8回を任せられる能力はある」というものだった。

パドレス移籍後、イエーツは61試合に登板して55回2/3を投げ、20ホールド、1セーブ、防御率3.72、87奪三振をマーク。翌2018年には65試合で63回を投げ、16ホールド、12セーブ、防御率2.14、90奪三振と成績を向上させた。そして、昨季は60試合で60回2/3を投げ、41セーブ、防御率1.19、101奪三振。スプリッターを武器に、メジャー最強クローザーの1人となった。

A・J・プレラーGMは「彼にはチャンスが必要だということを我々は知っていた。彼はコンスタントに登板するチャンスを得て、素晴らしい仕事をしてくれている」と語る。パドレス移籍のチャンスを生かし、当初の期待以上の活躍を続けているイエーツ。シーズンが開幕しさえすれば、今季もパドレスの9回のマウンドには絶対的守護神が君臨する。

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