オンライン授業本格化 創成館高「学びを止めない」 タブレットで意思疎通

生徒が送信した課題を添削し、アドバイスを添える教諭=諫早市、創成館高

 「学びを止めない」-。新型コロナウイルス感染拡大で学校が再び休校する中、長崎県諫早市貝津町の創成館高(奥田修史校長、777人)は、情報通信技術(ICT)を活用したオンライン授業を本格化させた。1、2年生全員に配備したタブレット端末「iPad(アイパッド)」を通し、双方向で学びを深めている。
 同校は昨年度から、タブレット端末用の教育支援アプリ「ロイロノート」を導入。教諭が提示した課題に対し、生徒が解答を端末に送信。教諭が添削したり、生徒全員の意見を表示したりできる。
 2019年3月の文部科学省調査によると、本県の教育用コンピューターの配備状況は児童生徒4.2人当たり1台。県によると、休校中のICTを活用した学習支援はさまざまな形で実施されているが、同校方式は珍しいという。
 同校は2月末の臨時休校を機に、春以降の長期休校も視野に、在宅学習方法を検討。新学期に入ると、学年別に登校し、在宅学習に備えた。1、2年生計525人は端末による授業、端末未配備の3年生には課題プリントを配布している。
 全国で学校休校が再開された22日朝。生徒のいない校内にチャイムが響いた。教諭が生徒に課題を送信したり、授業を撮影した動画視聴を指示したりした。教諭の2割が出勤、残りは在宅で授業を行う。
 「少し難しいです」。生徒の一人がコメント付きの解答を送ってきた。表計算ソフトを使った課題だった。情報担当の岩永光弘教頭は「詳しく教えるね」と書き込んで返信。「普段、手を挙げて言いにくいことが発信しやすくなり、生徒一人一人との距離がより近くなった」。学力アップと緊密なコミュニケーションの“相乗効果”に手応えを感じている。
 家庭ごとに通信環境が異なり、送受信に時間差が生じたこともあったが、改善を続ける。奥田校長は「首都圏などで進むICT教育を地方で定着させたかったのが始まり。生徒の学びを止めない責任が学校にはある」と話している。

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