『エクストリーム・ジョブ』笑いとアクションの相乗効果

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 緊急事態宣言が全国に拡大する中、順次公開中だった本作が期間限定で配信されている。昨年韓国で歴代興行収入の新記録を打ち立てた大ヒット作だ。麻薬捜査チームが犯罪組織を24時間監視するためフライドチキン店を営業すると、何とその店が大繁盛してしまい…。

 フライドチキンは、韓国では国民食といえるほど消費されているそうで、そこに“潜入捜査”という刑事ものではエース級の人気ジャンルを組み合わせたことが、成功の大きな要因だろう。ただし、『インファナル・アフェア』のようなシリアスな方向には振らず、聞いただけで笑いが込み上げるシチュエーションからも分かるように、本作はコメディーだ。しかも細部で弾けるのは、「ギャグ」と表現した方がしっくりくるタイプの笑いである。

 だから日本の観客の場合、賛否が分かれるかもしれない。小ネタが随所に散りばめられ、シュールな笑いも少なくない。そこを楽しめれば間違いなくツボにハマる作品だが、当然ながらテンポの良さや緊張感は削がれる。その代わり、後半に向けてアクションの比重が増していき、クライマックスに至っては韓国映画お得意の本格アクション映画の域。どのキャラも個性豊かで、その笑いとアクションの相乗効果は、ジャッキー・チェンの映画に通じるものがある。秀逸な設定で劇場に足を向けさせ、観客が一体となって笑いを楽しむ。本当なら映画館でこそ観てもらいたい作品なのだが…。★★★★☆(外山真也)

監督:イ・ビョンホン

出演:リュ・スンリョン、イ・ハニ、チン・ソンギュ、イ・ドンフィ、コンミョン

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