4月の長崎県内景気「厳しい状況」 7年3カ月ぶり下方修正

 財務省長崎財務事務所がまとめた4月の県内経済情勢報告は、総括判断を「新型コロナウイルスの影響により、特に観光業で大きく下押しされており、厳しい状況にある」とし、7年3カ月ぶりに下方修正した。外出自粛で個人消費が落ち込み、雇用求人数が減少していることなどが響いた。
 個人消費は「飲食サービス業が低迷し、観光施設の閉鎖で回復の見通しが不透明」とし、熊本地震直後の2016年以来、3年9カ月ぶりの下方修正となった。生活必需品や冷凍、インスタント食品の売り上げが伸びた一方、衣料品や宝飾品などが低迷。宿泊、飲食業でキャンセルが相次ぎ、2月の県内主要ホテル・旅館の宿泊者数は前年同月比15.4ポイント減。3月以降はさらに落ち込むとみている。
 雇用情勢は「改善のテンポが緩やかになっている」と11年ぶりに下方修正。観光、小売業で求人見送りや解雇の動きがあるほか、採用予定の外国人の入国が不透明で求人を出しにくくなっている、と分析した。
 生産活動は、電子部品・デバイスがおおむね横ばい。汎用(はんよう)・生産用機械は厳しい受注環境が継続している。大手造船は、新型コロナ禍の渡航規制などで営業活動に支障を来している。
 井手佐知雄所長は「これまでは個人消費が生産を支えてきたが、その構造が逆になり、下方修正せざるをえない」と説明。今後の見通しについて「人、物が動かない中、どう踏ん張っていくか。金融の面も難しい状況が続き、注意深く見ていく必要がある」とした。

 


© 株式会社長崎新聞社