長崎クルーズ船陰性乗員 チャーター機で帰国方針 国など最終調整 長崎や福岡の空港を検討 5月初めごろか

 長崎市香焼町に停泊中のクルーズ船コスタ・アトランチカのフィリピン、インド、インドネシア、中国4カ国の乗組員のうち、新型コロナウイルスへの感染が確認されなかった陰性者について、早急に民間のチャーター機で帰国させる方向で、国、県、運行会社が最終調整していることが27日、複数の関係者への取材で分かった。空港は長崎や福岡などが検討されている。
 長崎県が27日の会見で明らかにした乗組員623人の国籍は、フィリピン206人、インド102人、インドネシア86人、中国82人、イタリア40人、その他107人。
 複数の関係者によると、人数が多い4カ国の乗組員はチャーター機で帰国。それ以外は通常の民間機を利用することで政府の許可を得ているという。
 また長崎県は27日の会見で、感染した乗組員148人の年齢区分を明らかにした。それによると、50代は6人、60代は2人といずれも少なく、10代2人、20代56人、30代50人、40代32人で、比較的若い年齢構成だった。現在、2人が重症化するなどして市内の指定医療機関に入院。他の感染者は軽症か無症状でそれぞれ船内の個室に隔離されている。
 一般的に感染者の最大2割が重症化し、高齢者ほどそのリスクが高いとされるが、会見に出席した国立感染症研究所の島田智恵氏は「重症化する人は少ないのではないか」と述べた。専門家の間には「重症者は一桁にとどまるのではないか」との見立てもある。
 国の通知によると、軽症者や無症状者の療養は、2週間が経過すれば解除できる。会見した県の中田勝己福祉保健部長は「2週間の起点は症状がない日が大原則で、今回は個室隔離を開始した今月19日と考えている。(2週間後の5月初めごろ帰国させることも含めて)国と詰めの協議をしている」と述べた。

 


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