国交労組など、新型コロナで建設労働者保護求め声明

国土交通労働組合など関東地方の7つの建設労働組合は4月28日、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、いわゆる一人親方も含めた建設労働者の保護を求める共同声明を発表した。国や地方自治体、元請に補償の充実などを求めている。

国交労組以外に東京土建一般労働組合、埼玉土建一般労働組合、神奈川土建一般労働組合、千葉土建一般労働組合、神奈川県建設労働組合連合会、全日本建設交運一般労働組合が名を連ねた共同声明では、小学校等の臨時休校に伴う休暇取得支援制度で、雇用保険適用のある事業所の労働者が日額8330円に対し、一人親方や外注・手間請労働者は4100円にとどまることから差額の助成、雇用調整助成金の10割給付などを国や自治体に求めた。

さらに現場の安全対策として、「ソーシャルディスタンス」と呼ばれる労働者間の距離が確保できない場合、工程見直しや工期延長、現場の一時閉所を含む協議を発注者と受注者で行うように国と自治体が指導するように記載。工事代金不払い多発に備えた国や都県の窓口体制の強化、融資手続きの簡素化、住宅新築工事・リフォーム工事の増加につながる政策実施も求めた。

元請に対しては工期の見直しや延長による経費増や、一時待機を求める下請業者の休業補償を元請の負担で行うこと、一時閉所や一時待機を求める場合には一人親方を含む下請業者の完全な休業補償や経費負担を、元請責任で行うように求めている。

東京土建一般労働組合によると、最近になり元請は下請業者への補償を行う旨を示しているところも出ているが、2次・3次下請や一人親方までいきわたらせることが重要という。元請の大手のひとつで、5月10日まで施主の理解の上で全国の現場休工を決めた大和ハウス工業(大阪市)は、当サイトの取材に対し、協力事業者への補償を前向きに考えており、今後調整を進めていく旨を回答した。

国交労組などでは4月29~30日に建設労働者向けのホットラインを開設し、相談を受け付ける。10~15時までで電話番号は03-5338-2335。国交労組の吉岡清智・中央副執行委員長は4月28日の記者会見で「建設業は重要な基幹産業だが、劣悪な環境で入職者が少ない。処遇改善へ共闘・連携したい」と述べた。

国交労組などは新型コロナで苦境に立つ建設労働者の保護を訴えた(左手前が吉岡氏)

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