室内で郷土かるた楽しんで 神奈川・藤野地区の有志作製、地元の子が絵札

完成した「藤野郷土かるた」を手にする(右から)武井館長と佐藤事務局長=藤野観光協会

 相模原市緑区藤野地区の自然や歴史、文化を紹介する「藤野郷土かるた」が完成した。地区への愛着を深めてもらおうと、有志が企画。読み札の題材を地域で公募し、絵札を地元の子どもたちに担当してもらった。有志は、室内で楽しめるかるたを自治会や学童保育に貸し出す考えだ。

 作製したのは「藤野郷土かるたをつくる会」。発案した藤野中央公民館の武井孝夫館長(71)や、藤野観光協会の佐藤鉄郎事務局長(71)ら8人で立ち上げた。

 同会は2018年7月から9月にかけ、地区の自然や風景、歴史、人物、行事などをテーマに読み札を公募。メンバーらが808点の中から44点を選んだ。その読み札を基に、翌19年には地元の児童・生徒に絵札を描いてもらい、271点の中から選んだ。

 完成したかるたは、郷土愛にあふれている。例えば「相模湖の 湖底に沈む 勝瀬地区」は1947年の相模ダム完成に伴い、消滅した勝瀬地区を詠んだ。「炭焼きが 盛んだったよ 藤野町」はかつて旧藤野町の各地で催された伝統行事を伝え、「村歌舞伎 きょうの主役は おとなりさん」は92年に復活した村歌舞伎を取り上げた。また児童文学作家で翻訳家でもある「森比左志さんの 『はらぺこあおむし』 おもしろい」など、ゆかりの人物にも焦点を当てている。

 幅広い世代が楽しめるよう、読み札の漢字には仮名を振った。全ての絵札の裏を組み合わせると、地元在住の絵本作家・西村繁男さんのイラストになる遊び心も。紹介する場所を落とし込んだB4判の地図も添えた。

 武井館長は「さまざまな人のアイデアが詰まった自慢のかるたに仕上がった」と胸を張り、「かるた大会も開きたい」と意欲を見せ、佐藤事務局長は「藤野地区が財産のたくさんある場所と知ってもらいたい」と期待している。

 かるたは100セットを作製。藤野観光協会で団体に貸し出す。つくる会はさらに100セットを増刷し、小中学校などへ寄贈する予定。将来は1セット3700円で販売することも検討している。問い合わせは同会電話042(684)9503。

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