《コロナと向き合う (1)》必ず終息 協力願う 日本医師会常任理事・釜萢敏さん

大型連休中の外出自粛を県民に呼び掛ける釜萢さん

 新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、群馬県内は緊急事態宣言下の大型連休を迎えている。日本医師会(日医)の常任理事で政府の専門家会議のメンバーを務め、コロナ対策のために多忙な毎日を送る高崎市の釜萢敏さん(66)に現状と今後の展望を聞いた。

―緊急事態宣言が全国に拡大され、外出自粛が続く。この間の感染者数の推移をどう評価しているか。
 残念ながら全国、県内ともに感染者が増えており、良い方向が見えてきたとはいえない状況だ。少なくとも7日に出た7都府県での宣言により、急に数が減ってきた感じではまだない。ただ、都内では300人、500人と爆発的な感染拡大とはなっておらず、増加率は鈍化している。

―県内でも感染への緊張感が高まり続けている。
 群馬は東京に近く、都内との行き来をなかなか減らせない事情がある。その点については注意が必要だ。医師会の働き掛けもあり、検査態勢や病床の確保など、県内の自治体と病院との連携はよく取れていると思うが、残念ながら県内でも院内感染、施設内感染が出ている。対処が非常に難しく、厄介なウイルスであることは間違いない。

―5月6日までの緊急事態宣言が延長される可能性についてどう考えるか。
 専門家会議としては、宣言の効果をしっかり検証する必要があるという共通認識でいる。そのためのデータ整理にはどうしても時間が必要になる。一方で、多くの方が注目していることを考えると、ある程度時間的な余裕を持って対応できる時期に方針を出すべきだとは思っている。

―軽症の感染者が、自宅療養する問題についてはどう考えるか。
 県にもぜひお願いしたいのは、宿泊施設で健康管理できるような態勢を十分に確保してほしいということだ。県内でも感染が拡大すれば、病床数は必ず不足する。自宅での健康観察は最小限にとどめないといけない。

―大型連休を迎えた。県民にメッセージを。
 今回の大型連休の間は外に出ないで、ぜひ自宅で過ごしてほしい。このウイルスの拡大防止には人と人との接触を避けることが一番重要。地域に流行させないために、県民の皆さんのご理解とご協力をいただきたい。いずれ必ずこのウイルスは終息し、ウイルスと人とが一緒に暮らすことができるようになる。しばらく不自由な生活にご協力いただきたい。

 かまやち・さとし 高崎市医師会長を経て2014年から日医常任理事。日医の感染症危機管理対策室長を務める。小泉小児科医院(同市)院長。日本医科大卒。同市

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