阪神は2番マルテ、3番梅野で得点力向上? セイバー目線で12球団の打順を考察

阪神のジェフリー・マルテ(左)と梅野隆太郎【写真:荒川祐史】

阪神で打撃指標に優れるのは糸井嘉男と助っ人のマルテ

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、開幕が延期となっている日本のプロ野球。プロ野球ファンにとってはもどかしい時間が続くことになる。そんなファンにとって楽しみの1つになるのは、贔屓のチームが一体どんな打線になるか、ということだろう。

日本のプロ野球ではやはり3番から5番までのクリーンアップが重視される。だが、MLBでは“最強の打者”は2番に入るのがトレンドだ。これはMLBで広く浸透しているセイバーメトリクスの影響が大きい。

セイバーメトリクスではどれだけ多くの得点を奪うかを考える。より多く得点を取るためには、より多くの出塁が必要だ。打順は1つ繰り下がることに年間15打席ほど減少し、1番と4番では年間で45打席、1番と9番では120打席もの差が出る。そのため、1番や2番により良い打者を置くほうが結果的にシーズンを通じて得点の機会を増やすことに繋がるとされている。

1番は走者がいない状況で打席に立つことが多いことから、MLBでは、より多くの得点創出のチャンスになる2番に最強の打者を置く。1番、2番、4番が最重要視され、続いて3番と5番が重視される。これまで2番にはバントなどの“繋ぎ”が求められてきたが、セイバーメトリクスの分析では、バントは得点期待値を下げるとして基本的には戦術として推奨されていない。

では、この視点から12球団を見ると、一体どんな打線になるのか。第7回はセ・リーグの阪神を見ていく。

なお、今回は怪我人等は考慮せずにベストメンバーでの打線を探る。セイバーメトリクスで打者を評価する指標のOPS(出塁率+長打率)を中心に打線を考察した。なお、セイバーメトリクスでの指標は絶対の要素ではなく、これが“正解”と言いたいわけではない。この点を理解していただき、あくまでも1つの参考として、ファンの方々が様々な意見を言い合って楽しんでくれる材料になれば幸いだ。

上位での起用も想定される近本と木浪は出塁率の低さが気がかり

阪神で打撃指標に優れている打者は助っ人のジェフリー・マルテ内野手とベテランの糸井嘉男外野手。昨季はマルテがOPS.825でチームトップ、糸井が.819でチーム2位だった。ともに出塁率も高く、打順の中で重要なウエイトを占める1番に糸井、2番にマルテを据えてはどうだろう。

この2人に次ぐ打撃指標を残すのは43歳となった福留孝介外野手と梅野隆太郎捕手。福留はチーム3位のOPS.740を記録し、梅野はこれに次ぐ.714をマークしている。チーム内で打撃指標を比較すると、梅野を下位打線に置いておくのはもったいない。捕手で負担が増すかもしれないが、3番に据え、4番に福留という並びは面白い。

オフに5人の新外国人選手をチームに加えた阪神。野手3人同時起用の可能性はあるが、ここではマルテとジャスティン・ボーア内野手の2人起用を想定。ボーアはまだ未知数なところがあるが、オープン戦では苦戦を強いられており、現時点では5番あたりに置いておきたい。大山悠輔内野手がチーム5位にあたるOPS.714を記録しており、ボーアではなく大山を5番に置いてもいい。6番には糸原を置く。打率こそ.267と高くないが、出塁率は.353と高くチームで3位だ。

2年目の近本光司外野手と木浪聖也内野手は上位打線での起用が期待されているが、セイバーメトリクスの指標でいけば、下位打線に置くのが適当か。昨季、球団の新人最多安打記録を更新した近本だが、打率.271に対して出塁率.313。同様に木浪も打率.262で出塁率.302と高くない。

打席数の違いこそあれ、外野なら高山俊、遊撃なら北條史也の方が出塁率もOPSも優れている。この2人をスタメンで起用してもいいのではないか。近年、優れた投手力とは対照的に得点力不足が課題となっている阪神。ファンはこの打線をどのように考えるだろう。(Full-Count編集部)

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