【新型コロナ】外出自粛の高校生ら、ボイスドラマを制作配信 プロが支援

高校生らによるボイスドラマ動画「銀河鉄道の夜」の一部(提供・たまプラ新聞)

 横浜市内の高校在学生と卒業生がプロの支援を受けて、音声のみで物語を展開していく「ボイスドラマ」を共同制作し、ネット上で動画配信を始めた。新型コロナウイルス対策で外出自粛が続く中、スマートフォン(スマホ)を使い自宅で録音。聴く側と制作者の双方がリフレッシュできる利点があり、今後も作品数と制作仲間を増やしていく予定だ。

 ボイスドラマの制作に取り組むのは、桐蔭学園高校で昨年の演劇部長を務めた3年生の中村安璃さん(17)と、県立元石川高校で放送部長として活躍し、今春卒業した宇敷佳奈さん(18)。ネットメディア「たまプラ新聞」を運営するウェブデザイナーの長坂断さん(47)が、外出自粛の生徒支援の一環で、取材や仕事で関わりがある2人に声を掛けたのが発端。「スマホ1台で表現できる良い発想」「ぜひやりたい」と2人が快諾して始まった。

 中村さんが初回に選んだ題材は、宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」第1章の「午後の授業」。中村さんが登場人物(教諭)の語りを、宇敷さんが本文の朗読を担当し、それぞれスマホで在宅録音。長坂さんは2人から送られてきた音声データを編集し、中村さんと親しい県立光陵高校3年生の米田美優さん(17)が描いたイラストを添え、3月末から1週間ほどで約8分の作品を完成させた。

 「すべての作業をリモートワークで行い、打ち合わせには無料通信アプリの『LINE』を活用した」と長坂さん。完成作品は動画投稿サイト「YouTube(ユーチューブ)」上で、「学生たちがボイスドラマに挑戦」と検索すると表示され、視聴できる。

 初回作の配信で、中村さんは聴く人に「楽しんでもらった後、自分でも何かやりたいと思ってほしい」と呼び掛ける。進学先の専門学校が休校し、入学式もなくなった宇敷さんは「在宅でも声を 出して表現できる貴重な時間が持て、ストレス発散になった」と喜ぶ。

 第2弾として中村さんは、高校を舞台にしたオリジナル脚本を制作中。5月初めの完成を目標に、写真を使い スライドショー形式で視覚にも訴える 動画になる見通し。学生の自主性を尊重し、編集作業の裏方に徹する長坂さんは「初回作を聴いて『自分もやりたい』と名乗り出る学生もいた」とし、「意欲のある人には声を掛け、参加者が増えてくれれば」と地道に進める考え。ボイスドラマの制作は期間を限定せず、学校の再開後も続けるという。

 問い合わせは長坂さんにメール(2004@ezj.jp)で。

 ボイスドラマ「銀河鉄道の夜」は(https://www.youtube.com/watch?v=PUtBvx-MAT8&t=40s)。

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