《コロナと向き合う (2)》企業存続へ感染阻止 県商工会議所連合会長・曽我孝之さん

 新型コロナウイルス感染拡大に伴い、苦境に立たされている群馬県内の経済。休業を余儀なくされ、資金繰りに窮している事業者も少なくない。県商工会議所連合会長の曽我孝之さん(79)=前橋市=はかつてない経済環境の厳しさを強調。変革に向けて知恵を絞り、危機を乗り切るために思いを一つにすべきだとする。

―外出自粛が続き、従来通りの経済活動は難しい。県内企業が置かれた現状をどう捉えているのか。
 消費税率の引き上げで昨年から個人消費が落ちていたので、企業は一層先行き不安が強い。日用品の消費意欲はあるが、高額な耐久消費財は売り上げが極端に落ちている。中小企業は日々の資金調達に苦慮する。中堅でも外出自粛が2カ月以上長引けば持たないという状況だ。

―どんな業種に影響が及び、現場からどんな声が届いているのか。
 当初は飲食店や観光業の打撃が際立っていたが、今はあらゆる企業が資金調達に奔走している。この1カ月に前橋商工会議所に寄せられた資金繰り支援の相談は昨年1年間の相談件数を超えた。2008年のリーマン・ショックの比ではない。楽観論は皆無だ。

―テレワークや時差出勤など、企業経営や働き方の変革を迫られている。
 否が応でも今までとは全く異なる社会になるだろう。それぞれの企業が努力し、知恵を絞ってやっていくしかない。テレワークは簡単に導入できない業種もあるが、新たなことに挑戦するのも大切。前橋商工会議所は人員を分割して業務に当たり、県商工会議所連合会は非常時に各商工会議所が人員を補い合うことを検討している。

―経済情勢は依然として厳しい。この先をどう見通すのか。
 先が全く読めない。心配しているのは、秋以降に倒産と廃業が相次ぐのではないかということ。国や自治体はいろいろな手を打っているが、ただでさえ後継者が不足している。これを機に辞める人が出るのではないか。中小企業は根底で日本の経済や雇用を支えており、特に地方への影響は大きい。

―さまざまな経済支援策も長期化すれば足りないとの声もある。生き残るためにどうしたら良いのか。
 借り入れや補助金でつなぐにも限界はある。今はとにかく感染を止めることが最重要。みんなが思いを一つにして感染を防ぐしか手だてがない。安心して外出できる日が一日でも早く訪れることを願っている。

 そが・たかゆき 食品や飼料の卸しを手掛ける中屋商事社長。2004年から前橋商工会議所会頭、09年から県商工会議所連合会長を務める。前橋市生まれ。慶応大経済学部卒。同市

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