【MLB】元燕ミューレン氏、故郷のコロナ不況で慈善活動に邁進中「いつか乗り越えられる」

ロッテ、ヤクルトでプレーしたヘンスリー・ミューレン氏【写真:Getty Images】

メッツコーチのミューレン氏のオランダ領キュラソーは新型コロナウイルスで経済不振に陥っている

ロッテ、ヤクルトでプレーし、現在はメッツのベンチコーチを務めているヘンスリー・ミューレン氏が、新型コロナウイルスから故郷のオランダ領キュラソーを守ろうとボランティア活動を行っていると米全国紙「USAトゥデイ」が伝えた。

カリブ海に浮かぶキュラソー島は人口15万人。国土面積は種子島と同じくらいの小さな島だが、これまでにドジャースの守護神ジャンセンやフィリーズのグレゴリアス、エンゼルスのシモンズやソフトバンクのバレンティンら多くのプロ野球選手を輩出している。同紙によると、これまで感染者は16人、死者1人に抑えられているが、観光業が大打撃を受けて経済活動が不振に。同紙は「ミューレンが今、人生で最大の挑戦に挑んでいる。52年前に生まれた母国をなんとか守ろうとしているのだ」として、ミューレン氏のコメントを紹介している。

「この島の経済が今回のように破壊された出来事は、これまで1度もなかった。ここは本当に美しい場所なんだ。ただ、今は本当に苦しい状態で、そんな風に見えないだろう。ここは全てを観光に頼ってる。観光客が来なければ、住人には収入がない。彼らは、他にどこに行く場所もなく、お金もなく、食べるものもない状態だ」

「人々のそんな姿を見るのは本当につらい。家族を養って、誇りに思っていた人達が、今は助けが必要になってしまった。彼らは、こうなってしまって、恥ずかしく思っている。それでも食べないといけないからね」

ミューレン氏は島内のフードバンクでボランティア活動

ミューレン氏は島内のフードバンクでボランティア活動。現在、1日に1500食ほど用意しているが、10000食を用意したいそうで、「必要な人、みんなに届いる状態ではない。だけど、できるだけのことをしようとしている。フードバンクはよくやっていると思うよ。みんなが健康に過ごせるように何とかしようとしている」と話している。

キュラソー島は朝6時から9時までと、夕方5時から7時までの間しか外出が許可されない厳しい態勢を敷き、島内でのウイルス感染拡大を防いだ。しかし、島内の経済復興には観光業は欠かせない。

「新型コロナウイルスについては、山を越えたと思う。だけど、人々は、今の状態をとても怖がっている。ビジネスを再開して、観光客が戻って来なければならない。しかし、観光客が再び戻ってくるまでには、まだしばらく時間がかかるだろう」

「野球と同じだよ。いつか、これを乗り越えることができる。それは分かっている。今は、お互い助け合うために何でもやるよ。そして、このことで我々はより強くなるはずだ」

日本では94年からロッテ、95年から2年間ヤクルトでプレー。NPB3年間で通算77本塁打を放ったスラッガーは今まさに故郷の“助っ人”となっている。(Full-Count編集部)

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