【新型コロナ】潮干狩りの名所も人影なく 横浜市、海の公園など封鎖

関東有数の潮干狩りスポットとして知られる海の公園。柵で封鎖された砂浜に人影はない=30日午後2時ごろ、横浜市金沢区

 ゴールデンウイーク(GW)に最盛期を迎える横浜市金沢区の潮干狩りスポットは、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う外出自粛の影響で閑散としている。海の公園と、近隣の野島公園の浜辺は市が柵を設置して封鎖。一時は潮干狩り目当ての行楽客がフェンスをよじ登る騒ぎもあったが、現在は人影のない砂浜が広がる。

 ピークのGW期間には例年、1日約4万人が訪れる海の公園。30日、無人の砂浜では波音と海鳥の声だけが響き渡っていた。

 近隣で商店を営む女性(63)は「もう5月になるのに人出がなく、季節感が狂ってしまいそう。(店の)経営には大打撃だけど人命が第一」と受け止める。逗子市の自営業男性(45)は「週明けに家族5人で潮干狩りをしようと思い、下見のために訪れた」。母と妻、子ども2人と楽しむ毎年の恒例行事だが、張り巡らされた柵を前に「人気もないし、今年は諦めるしかない」と思い改めた。

 「潮干狩りはどこかに逃げたりしない。自粛中に来てしまうのは楽しむことが目的ではなく、もはや意地。醍(だい)醐(ご)味みを味わえない」

 関連著書を多数手掛ける自称「潮干狩り超人」の原田知篤さん(70)は、行楽客に自粛を訴える。

 「他のスポーツや趣味と違い、体力差や技術差は関係なく、道具がなくてもいい。祖父母から孫の世代まで等しく楽しめる」と魅力を説く原田さん。潮干狩りは10月まで堪能できるといい、収束後の訪問を呼び掛けている。

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