椿メロン、挑戦に“逆風” 今だから見えた「家族の絆」 五島・やしろ農園

つばき油の搾りかすを肥料に使うなど、五島ならではの独自農法で「椿メロン」を育てる八代侑紀さん(左)、綾子さん=五島市岐宿町

 妻の父の後を継ぎ、メロンを育てて4年目。順調に増えていた首都圏のホテルからの注文は途絶えた。それでも自慢の実はすくすく育ち、甘みを増していく。
 今年、挑戦を始めた。五島特産つばき油の搾りかすや、ミネラル豊富な島の海水を与える新ブランド「椿(つばき)メロン」の栽培だ。「五島ならではの味を全国に届けたい」との思いがあった。
 同時に「1株メロン」と名付けたサービスも始動。客に株ごと買ってもらい、間引いた実やアゴを漬けるピクルスキット、椿メロン2個、メロンアイス8個を3回に分けて順次届ける。
 予約を受け付けると、自宅用だけでなく、両親などに贈りたいとの声も寄せられた。帰省や旅行が難しい今だからこそ、家族を思う気持ちが垣間見えた。
 別事業の給食野菜の卸売りも臨時休校のあおりを受け、想定外の困難は続く。でも最近、高校生の息子が初めて農作業を手伝ってくれた。会話こそ少なかったが、成長した息子の背中を頼もしく感じた。「家族の絆…ですかね」。夫婦はうれしそうに顔を見合わせた。
 1株メロン注文は5月8日午後5時まで。やしろ農園(電090.7367.2778)。

 


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