ジューンブライドに挙式「ゼロ」 そこから始まる新たな挑戦 南島原・ウエディング石川 社長の決意

出前の準備に奔走する石川社長=南島原市深江町

 4月中旬の昼下がり。休館中の館内ロビーは静まっていた。例年なら、結婚式のプランニングや前撮りのカップルで華やかな季節だが、5、6月の結婚式の予約計27件は「ゼロ」になった。「暖かくなる今の時期からジューンブライドの6月までは挙式が多い時期だった」とため息をついた。
 新型コロナウイルスの影響で人混みへの警戒感が強まった2月末以降、歓送迎会など宴席のキャンセルが相次いだ。「3、4月の収益は前年同月比9割減。社員の雇用は守れるのか」。眠れぬ日々が続いた。
 そんな折に見たのが、ある大学の学長が学生と教職員に贈った動画のメッセージ。「新型コロナウイルスの感染増加は必ず終わる。そこから新しい成長が始まる。それが人間の歴史。われわれは新しいチャンスを得ることができる」
 その言葉に目が覚めた。「見切り発車でもいい。できることは何でもやろう」。近隣住民への「出前」を始めた。沈んでいた社員の目が輝き始めた。状況が好転しているわけではないが、「みんなで力を合わせ難局を乗り切る」と決意した。自身のフェイスブックのタイトルも変えた。「コロナに打ち勝つ」と。

 


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