LIXIL、懸案だった伊子会社を米企業に売却

LIXILグループ(東京都江東区)は5月1日、子会社のLIXILが100%の株式を所有するイタリアのカーテンウォール事業会社であるペルマスティリーザの米アトラス社への売却を決定した。売却価格は非公表で株式譲渡日は未定。またこれに伴う2020年3月期業績の見直しも行った。

LIXILグループは2011年にペルマ社を約600億円で投資ファンドから買収。しかし思うように業績を伸ばせなかったことなどから、2017年に中国のグランドランド社と売却で合意したものの、2018年に米規制当局の許可が下りないことから断念していた。2019年3月期でペルマ社は売上が11億1700万ユーロ(約1369億円)だが、LIXILにとって4億1200万ユーロ(約482億円)の赤字となっていた。売却先のアトラス社は物流や製造業以外に建設業も含め20社以上の事業会社に投資を行っており、年商は50億ドル(約5300億円)超という。

LIXILグループの瀬戸欣哉社長は5月1日の発表会で「ペルマ社のビルディング事業はコア事業ではない。水まわりと建材に注力したい」と売却の理由を語った。今回の売却に伴い2020年3月期は2019年5月13日の前回予想と比較して、継続事業の金額で売上高は8.4%減の1兆6950億円、他社の営業利益にあたる事業利益が24.5%増の585億円、純利益にあたる当期利益は81.8%増の320億円。非継続事業も含めた当期利益は9.1%減の160億円だが、1株あたりの年間配当金は70円のままとする方針。

また今回の事業売却の他、新型コロナウイルス感染拡大により子会社の決算にも監査に時間を要することから、2020年3月期の決算発表は当初予定の5月11日から5月29日に延期する。2月中旬から中国での部品供給などが滞ったことから、国内水まわり事業の一部商品について受注停止などの措置をとったが、3月25日から全商品の受注を再開している。中国の全子会社がすでに生産・営業を再開。4月27日時点で水栓金具生産のドイツ2拠点、水栓金具と衛生陶器生産の南アフリカの3拠点、インドネシア、タイ、インドの衛生陶器生産拠点が生産を一時休止しているが、グローバルでの供給に大きな影響はないとしている。

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