《コロナと向き合う (4)》免税や助成で救済を 県旅館ホテル生活衛生同業組合理事長・森田繁さん

 新型コロナウイルス感染拡大防止のための外出自粛要請や宿泊施設への休業要請は、宿泊事業者の経営を直撃している。群馬県旅館ホテル生活衛生同業組合理事長の森田繁さん(70)は事業継続に向けた多角的な支援・救済措置や終息後の需要喚起の必要性を訴える。

―宿泊業は深刻な打撃を受けている。
 これまでに経験したことのない規模の影響だ。国内で3月に急激に感染が広がり、団体利用から個人客までキャンセルが相次いだ。3~6月の取り消しは少なくとも延べ約38万5000人、損害額は約40億2000万円に上る。終息が見えず、会員は皆、不安を抱えている。

―大型連休中の休業要請も出された。
 感染拡大を抑え込む狙いは理解できる。ただ、本来は書き入れ時となるこの時期に収入が絶たれてしまった。本当に痛手だ。

―事態が長引けば、個々の施設では事業の継続も危ぶまれる。
 資金繰りが大きな問題になってくる。国や県、金融機関の融資制度を活用しているが、審査が厳しく思うように受けられないケースもある。金利が実質ゼロの融資はあるものの、終息のめどが立たなければ資金計画を立てられず、申請に踏み切れない経営者もいる。新たな借り入れは将来の大きな負担になってしまうからだ。民間調査会社のまとめではコロナ関連の倒産が全国で100件超、このうち2割が宿泊業という。会員から廃業や倒産が出てしまわないか危惧している。

―必要な支援策は。
 県が事業継続支援金や融資を受ける際の最長7年の利子補給など、さまざまな支援策を打ち出してくれることはありがたく、評価したい。一方で、施設の規模によっては金額面で不十分と感じる会員がいるのも事実。国や県、市町村には固定資産税の減免や入湯税の免除といった幅広い観点での救済を求めたい。休業に協力したことで絶たれた収入のうち、一部でも助成してもらえるといい。

―終息後を見据えた取り組みも欠かせない。
 群馬県の観光の要は温泉だ。その灯を消すようなことがあってはならない。終息後の需要喚起が鍵となる。国や自治体が連携して、宿泊需要が長く続くような仕掛けをしてほしい。組合としてもアイデアを出し合い、さまざまな誘客策を打ち出したい。今は辛抱のとき。改めて衛生面の取り組みや従業員教育に力を入れ、お客さまを迎える準備をしたい。

 もりた・しげる 伊香保温泉の老舗旅館「古久家」4代目社長。伊香保温泉石段街振興会長。2015年5月から現職。日本大商学部卒。渋川市

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