「里帰り出産」受け入れ PCR検査など条件 長崎県産婦人科医会

 長崎県内の産婦人科医らでつくる県産婦人科医会などが、PCR検査で新型コロナウイルス感染の有無を調べることなどを条件に、長崎県出身者らの里帰り出産を受け入れる方針を決めたことが、2日までに分かった。里帰り出産について厚生労働省は自粛が望ましいとの見解を示す中、対策に万全を期すことを前提として独自に判断した。

 同会顧問で県医師会長の森崎正幸氏が、長崎新聞の取材に明らかにした。県内の感染症指定医療機関では里帰り出産の受け入れを中止している所もあり、対象はこれ以外の施設。県産婦人科医会が近く、新たな方針として会員医師に通知する。
 同会は4月初め、県外から里帰りする妊婦には原則、妊娠32週ごろの妊婦健診で感染の症状がないことを確認した後に帰省してもらい、2週間の自宅待機を経て受け入れる方針を示していた。しかし、緊急事態宣言の全国拡大後は自粛を促していた。
 森崎氏によると、新たな方針では、里帰り出産を希望する妊婦には妊娠32週より早い同24~26週ごろの妊婦健診後の帰省を要請。2週間の自宅待機を経て受診してもらった後、さらに、4月から運用が始まったドライブスルー方式の「地域外来・検査センター」でPCR検査を受けてもらう。同センターで妊婦の検査が可能になったため方針転換した。
 里帰り出産を巡っては、日本産科婦人科学会などが居住地での出産を推奨。厚労省も4月下旬「現在住んでいる地域で出産を考えていただきたい」とする文書を自治体に通知している。
 県内ではこれまで月平均180例の里帰りの妊婦を受け入れているという。森崎氏は「感染地域で不安を抱えるより帰省して安心してお産をしてほしい。『帰省をやめて』と言うと、逆に親が県外に行くことにもなりかねない」と話した。

© 株式会社長崎新聞社