【新型コロナ】「子どもの笑顔守りたい」 飲食店、手作り弁当を無料提供

肉や魚、野菜などをバランスよく盛り込んだ3種類の弁当=小田原市栄町

 新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言が続く中、ひとり親世帯などの助けになろうと、小田原市栄町の飲食店「ぐるりくるり小田原」が、手作り弁当を無料で提供している。「飲食を通じて地元の子どもたちの笑顔を守りたい」との思いで始めた取り組みが、地域を巻き込んだ活動に広がろうとしている。

 4月18日から提供しているのは「一期一笑(いちごいちえ)弁当」。「人の出会いを通じて、笑顔でみんなをつなげたい」との思いを込めた。

 メニューは日替わりで、野菜や肉、魚をバランス良く盛り付け、彩りや栄養バランスにも気を配っている。タケノコやサワラといった旬の食材も使い、外出自粛要請が続く中でも季節を感じられるよう工夫した。

 提供の対象は主にひとり親世帯や高齢者、経済的困窮者ら。1個750円で購入した場合は、売り上げを翌日の無償提供分に充てている。当初は1日100食だったが、今は平均150食程度に拡大。近隣の飲食店にも協力を呼び掛けており、追加メニューや有志の料理人による特別弁当など、内容も充実させている。

 小学生の男児と幼稚園に通う女児の母親は勤務先の宿泊施設(箱根町)が休業し収入減に直面しており、「おいしくてボリュームもある。子どもたちも喜んでいて、本当に助かる」。購入した市内医療機関の50代女性は「気軽に支援につながるのはうれしい。頑張る人たちを応援したい」と笑顔をみせた。

 同店オーナーの香取淳さん(50)は、かねて子ども食堂の開設を検討。コロナ禍で経営する店舗をすべて休業させた中でも、「自分たちにできることを」と提供を始めた。当初は5月6日までの予定だったが、好評を受けて延長するつもりだ。「終息しても、何らかの形で子どもたちへの支援を続けていきたい」

 弁当の提供は午後4時から午後8時まで。問い合わせは、同店電話0465(43)6075。

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