価格は約2億円 世界最高峰「ブリティッシュ・スポーツ」 が公開

世界中を新型コロナウイルスの閉塞感が覆っているときではありますが、浮世離れしたイギリス車2台の情報が届きましたのでお届けします。どちらも2シーターのオープンモデルであり、隅から隅までスペシャル感満載のモデルです。


世界で12台しかない超絶プレミアムカー

まずは英国の超高級ブランド、ベントレーと言うだけでもすでに特別ですが、なかでも特別仕様(ビスポーク部門と呼ばれる)などを手がける名門コーチビルダー「マリナー」製のモデルといえば、超絶スペシャルなクルマという存在です。

ここからは少し説明が込み入るのですが、このマリナーには旧い車をレストアする「クラシック」、ベントレーの市販モデルをベースに特別仕様車を制作する「コレクション」、そして世界に1台きりなどごく少数の特別仕様を制作する「コーチビルド」の3つの部門があります。今回はマリナー・バカラル(以下、バカラル)はその生産台数が全世界でわずか12台で、担当したのはコーチビルド部門になります。

ベースとなったのはコンチネンタルGTコンバーチブルで、価格は29,414,000円也。これでもすでにスペシャルですが、当然、バカラルは2倍どころかほぼ7倍の150万ポンド(約2億700万円)となり、思わず笑ってしまいます。ベースモデルと共通する部品はドアハンドルぐらいしかないというほど徹底して変更されます。つまり軽量なアルミニウムやカーボンファイバーをふんだんに使ったオリジナル開発のボディをもとに、さらに購入したユーザーと職人達がじっくりと話し合いながら、一台一台個別に仕様を決めていき、まったく新しいクルマを12台作る。当然のことですが贅を尽くそうと思えば天井知らずということになるわけです。

メーカーは古くから使われているバルケッタ(小さな小舟)という表現を使っていた

このスペシャルモデルのボンネットに収まるのは、親会社であるフォルクスワーゲングループの6LW型12気筒ツインターボエンジンです。最高出力659馬力、最大トルク900N・mという強烈なパワーは、8速デュアルクラッチ式トランスミッション、そしてアクティブ4WDシステムへと伝達されます。ベースとなったコンチネンタルGTに実際に乗ったときにですら「これほど乗りやすいスポーツカーはない」と感動したのですが、このバカラルの乗り味はどんなものでしょうか? 想像するしかないのですが、もちろん生涯乗る機会はやってこないと思います。そして、そのすべてはすでに売約済みです。

ちなみに車名のバカラルは、メキシコのユカタン半島にあるバカラル湖にちなんで命名されました。メーカーの説明によれば「現実離れした美しさで知られる湖」とのことです。クルマも現実離れしていますから、まずはぴったりなネーミングと言えます。そしてこのバカラル、コーチビルド部門が放つ第一弾として、本来ならば中止になったジュネーブショーで華々しく登場予定でした。結果としてその場を失ったわけですが、これだけスペシャルだと、どんな状況でも注目度は変わらないと思います。同時に、バカラルの次なるモデルに興味津々です。

ルーフ、フロントガラス、サイドウインドウがない

2シーターオープン、マクラーレン ELVA(以下エルバ)の発表は昨年行われたのですが、日本でのお披露目は今年4月。昨年、オープンしたばかりの「有明マクラーレン クオリファイド東京」にて行われました。本来ならば華々しく日本上陸イベントが行われるはずでしたが、少しばかり寂しい日本初公開となったのは残念です。それでもマクラーレン・ブランド初のオープンコックピットのロードカーであるエルバの注目度はかなりものです。

オープン・コクピットの魅力的な形状とフォルム

それもそのはずで、マクラーレンには「GT」、「スーパーカー」、「モータースポーツおよび究極(アルティメット)」というモデルで構成されています。その中で最上級のカテゴリーが「アルティメット・シリーズ」で、今回のエルバはここに「新風を吹き込むモデルとなります」とメーカーが胸を張るモデルです。つまり最上級のアルティメット・シリーズの中でも、最先端を行く新型ロードスターということになり、関心度の高さにも頷けます。ちなみにエルバという名称は、マクラーレンの創業者であるブルース・マクラーレンが設計した、1960年代の有名なレーシングカー、McLaren-Elva M1A(マーク1)などに由来するもので、マクラーレンにとって非常に象徴的なモデル名を与えたことになります。

まずその外観ですがルーフもフロントガラスもサイドウインドウもありません。まさにオープン・コクピットと言える、レーシングカーそのもの外観です。雨が降ってきたからといってソフトトップが出てきたりするわけでもなく、このままのスタイルの2シーターオープンです。乗員は安全を考慮して用意されているというヘルメットを装着して乗ることになるかもしれませんが、もちろん「ノーヘル」であったとしても、乗員をすっぽりと包み込む構造ですから、安全な環境はしっかりと提供されています。また、情報では固定式のウインドスクリーンを装備したバージョンもオプションとしてリクエストできるそうです。

もちろんカーボンファイバー製シャシーとボディは軽量化を徹底して行われているのですが、車重のスペックなど正式なアナウンスは現時点でまだありません。

フロントガラスのない特徴的な前方のデザイン。ヘルメットは装着した方がよさそう?

さて、軽量化を施されたオープン・コクピットの中ですが、なんとも未来チックで、まるでコンセプトイラストのような仕上がりです。レーシングカーのような素振りを見せながら、中を見ればカーボンファイバー製ドアや緩やかなカーブが連続する、いかにも上質なコクピットは硬度と強度に優れた軽量な複合素材がふんだんに使われていて、実に魅力的です。

そしてこのエルバの心臓として選ばれたのはマクラーレン・セナGTRなどに搭載されるものと同じラインにある4.0LのV8ツインターボで、これをミッドシップとしています。そのパフォーマンスは最高出力815馬力、最大トルク81.6kg-m、0から時速100km/hまでの加速時間が3秒未満というスペシャルな走りを実現しています。もちろんアルティメット・シリーズの最高峰といえる走りのパフォーマンスになるわけです。

今回のエルバ、もちろん日本を含めた世界32以上のマーケットで、85以上の正規販売店にて販売されます。先述のとおりスペックや価格はまだ暫定値ですが、情報によれば、本国の価格設定では、137万5,000ポンド(約1億8,300万円)と発表されています。もちろん日本向けもポンド表記です。当初は2020年末頃には納車が始まる予定とされていたのですが、限定台数249台で、納車は来年になる予定という情報があります。

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