<データで振り返る「チーム長崎」> 競技別得点の推移 ソフトボール1位

 2014年長崎がんばらんば国体で天皇杯(男女総合)を獲得した「チーム長崎」。県、県体育協会(現県スポーツ協会)、各競技団体を中心に、地元国体へ向けて進めてきた強化が、形となって現れた。では、その財産は今、どう生かされているか。長崎国体後の5大会をデータで振り返る。

■「国体」って?

 国体は天皇杯(男女総合)、皇后杯(女子総合)を懸けた47都道府県の対抗戦。秋の本大会は37の正式競技が行われる。基本的に男女とも主に高校生が出場する「少年」、高校卒業以上の大学生、社会人などが対象の「成年」の計4種別で競う。
 長崎県の天皇杯順位は地元国体後、17位(15年和歌山)、28位(16年岩手)、24位(17年愛媛)、41位(18年福井)、26位(19年茨城)と推移してきた。「1位の翌年に下がりすぎでは?」という声も聞こえそうだが、これには「開催地枠」が絡んでくる。
 国体の開催地となる都道府県は全競技の全種別にエントリーが可能。一方、ほかの46都道府県は九州や関東、関西などのブロック予選を勝ち抜いて、各競技種別ごとに設定された出場枠を獲得しなければならない。結果、開催都道府県のアドバンテージは大きく、14年は「特別な年」だったと言える。
 このように有利な状況ではあるが、あくまでも競技別得点は8位以上に入賞しなければ獲得できない。各競技団体は地元国体に向けて、何年も前から競技力向上に励んできた。共通認識は「強化システムを確立して、地元国体後に生かす」。翌15年からは、人口や財政面など長崎県の“体力”に照らし合わせて「20位台定着」を一つの目安に掲げてきた。

■真価問われる

 「財産を生かす」という真価を問われる勝負が始まった和歌山国体以降。残念ながら、競技間の得点差が出てきた。地元国体後5大会の合計得点を競技別に見ると、ソフトボールが392点でトップ。剣道が228点で2位、スポーツクライミングが216点で3位、以下は陸上、カヌー、重量挙げ、バレーボール、アーチェリー…と続く=表1=。

【表1】長崎国体後の競技別得点の推移(冬季競技除く)

 競技得点は1チームのプレーヤー数によって、得点配分が4段階に分かれている。プレーヤー数が多い競技ほど高得点が取れるため、得点だけでは比べられない部分もある。
 とはいえ、茨城国体で184点を稼いだソフトボールの活躍は圧巻だった。内訳は成年男子と少年女子が優勝、少年男子が準優勝で競技別は堂々の1位。他県に大差をつける過去最高の成績を残した。中でも、少年男子は9年連続入賞中。岩手国体の3位メンバーが、茨城国体成年男子の主力として古里に貢献するなど、強化のいい流れができている。

茨城国体で初優勝を決めて喜ぶソフトボール成年男子のメンバー=茨城県常陸太田市、白羽スポーツ広場

 剣道は和歌山国体で少年勢が男女そろってV2を飾った。少年男子は岩手国体で種別史上初の3連覇を達成。少年女子も愛媛国体から3年連続で4強以上に入っている。国体に限らず、中学生や大学生の活躍も目立っており、常に高い競技レベルを維持している。
 スポーツクライミングは現在、福井国体でボルダリングを制した成年女子がけん引している。彼女たちもソフトボール同様に少年種別時代から活躍するメンバー。高体連にはない競技ながら、競技団体の地道な普及活動で好選手が育っている。
 5大会すべてで入賞を続けているのは13競技。熱心な指導者の存在に加え、競技団体としての組織力や意識の高さがうかがえる。結果が出ていないだけで、懸命に地元国体の財産を生かそうとしている競技もある。
 一方で、地元国体後は無得点という競技もある。当該の競技団体、関係者は、地元国体に向けて構築した強化策を再確認して、次代を担う子どもたちへ元気、勇気を届けられるように頑張ってもらいたい。

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