「お金に強い子」に育てるために家庭で教えたい事

一生安泰な人生なんてあり得ません。いい大学を出ていても、人が羨むような大企業に入社しても、その人の人生に何が起きるか誰にもわからないのです。私が子どもたちにお金の教育をしてきた理由は、生きる力を身につけてほしいからです。

今の時代、何が起こるかわかりません。突然、会社が倒産して、苦しい状況にぶち当たったとしても、自分の足で立ち上がることができる大人になってほしいのです。

もちろん、そのために体力はもちろんですが、お金に強いという底力が威力を発揮してくれると信じています。「お金の教育」は、学校では教えてくれません。ですので、家庭での実践をおすすめします。


親は見守って、子どもにやらせてみる

お金に強い子とは、お金に関するさまざまな経験をした子だと考えています。お金に強い子は、生きる力も併せ持っているともいえると思っています。生きる力は、自分で考え、自分で判断して、自分の責任のもと行動することができる力。まさに、これからの時代に必要な力なのです。

お金の教育でどのような経験をすればいいのかというと、小学校、中学校のうちは、おこづかいをとおして経験を積むことができます。高校生くらいにもなれば、おこづかいとは別に、自分の欲しい物のために、借り入れをして、返済することも経験します。

返済するためには稼ぐ必要があり、働いてお金を手に入れる苦労も身に染みて理解するようになります。お金の教育は、お金や物の大切さを教えることができます。お駄賃制を導入できれば、お金を稼ぐという大変さも経験することができます。

おこづかいの目的は「算数の成績を上げる」ことではない

おこづかいの導入時にありがちなケースとして、算数の学習としても期待してしまうということがあります。おこづかいの第一の目的は、算数の成績を上げることではありません。さまざまな経験をとおして、問題に対して自分で考えて、意思決定ができる子になること。人としてその行動に責任を持つということです。その延長上に、算数が好きになったとか、社会に興味を持ったということであればいいことだと思います。

また、おこづかいをとおして、将来の職業選択につながる経験も積むことができます。そのひとつが子どもの好きなことや興味のあることをとことんやらせてみること。おこづかいの中で、自分のために使えるお金を使わせます。

好きなことって、得意なことでもあることが多いですし、たくさん経験を積むことができたら、将来大人になったときに、得意な職業に就きたいと考えるでしょう。子どもが夢中になれる事をたくさん経験させてあげたら、自信がつくとともに、能力も開花します。

保護者の方からのご質問で、オタク系のお子さんのお話を伺うことがあります。「子どものうちから夢中になれることを見つけられることは幸せなことだ」と、お伝えします。

家計が許すのでしたら教育費として予算を取るぐらい親も本気でサポートしてあげてほしいと思います。

小学生のときの紙ヒコーキがきっかけで理系に進学

わが家の長男は、小学校から現在の大学生までの間、基本は「つくること」が軸にありました。小学生では紙ヒコーキ。飛行時間を競う大会もあり奥が深いのです。福山市の紙ヒコーキ博物館に紙ヒコーキの師匠に会いに行ったこともありました。当時、土日は野球があるので練習が休みのときは朝から広場に行って自作の紙ヒコーキを風に乗せていました。

それから中学生になると、パソコンをつくるようになります。物や機械は何でも分解していました。そして、高校生では自転車に興味を持ち、これも自作します。親に借金をしたエピソードは「我が子がお金を借りたいと言ったら?親だから出来るお金のしつけ」で紹介しました。

大学生になった現在は、工業用の機械を買って、自動車模型の部品を製作しています。将来は独立して自転車のブランドをつくることだと話しています。

親からしたら、勉強の足しにもならないし、仮に、それを頑張っても成績は伸びないかもしれません。だからと言って、けなしてしまっては終わりです。

親は手を出さずに子どもの行動を見守ろう

学校では何でも拙くこなせる子もいますし、1つのことに能力が長けている子もいます。特に小学校や中学校では、平均して学習ができるようになることを求められてしまいがちなので、子どもの能力は、親こそが見抜いてあげるべきとても重要な役割だと考えています。何時間も集中してできることが見つかったら、とことん付き合う覚悟を持ちましょう。

子どもの能力を見出すためにはお金がかかります。趣味でも、学校に通うにしても必ずお金がかかるのです。おこづかいの範囲でやりくりさせてもいいと思いますし、もしくは、教育だと判断し、教育費として費用を家計から捻出するのもいいと思います。

高校生にもなれば、その資金は自分のお年玉や貯金、またはアルバイトで得たお金で賄うようにさせてください。必要な機材や材料を購入する経験をはじめ、代金の支払いまで経験することができます。

親は、手を出さずに子どもの行動を見守ってください。親が何でもやってしまうと、肝心の経験ができなくなります。心配かもしれませんが、まずはやらせてみること。

将来、子どもが大人になって、職を失い、ピンチに陥ったとしても、自分ができることを理解していれば、どうやってお金を稼げばいいのかその方法を考えることができる、というのが我が家の哲学です。

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