緊急事態宣言 1カ月延長に“耐える”日々 コロナ長期化に理解と不安

人の往来がなく閑散とする長崎市の繁華街、思案橋=4日午後7時48分、長崎市本石灰町

 新型コロナウイルス特別措置法に基づく全国への緊急事態宣言が4日、31日まで延長された。県はこれを受けて対応方針を検討するが、休業要請や休校措置はどうなるのか。飲食店主は「あと1カ月我慢」とため息をつき、受験を控えた高校3年生は「とにかく不安」と長期化を懸念する。
 ゴールデンウイークにもかかわらず、長崎市の思案橋や銅座はシャッター街と化した。県の要請に応じ休業または営業時間を短縮しており、船大工町の居酒屋「呑喜(どんき)」も早めに閉めている。店主の松本美鈴さん(69)は「今はしょうがない。県外からウイルスを持ち込まれて感染が広がると困るしね」と人の移動を抑える点には理解を示す。とはいえ協力金30万円では収入減を補えず、「あと1カ月我慢すれば通常営業に戻せるのかねえ」。
 県内ほとんどの学校は3月初旬から休校となり、新学期に再開したものの、宣言の拡大で4月下旬から再び休校となっている。
 大学受験を控える県立長崎西高3年の峯苫泉水さん(17)は「感染拡大防止に必要な措置だと思うが、今年は入試制度が変わる年で不安なのに、さらに不安が重なる」と複雑な心境だ。休校延長となれば「家で勉強を頑張るしかない」。
 小学3年と幼稚園の娘を育てる佐世保市の主婦(42)は「まだ収束しておらず危機感を持っていた。延長してよかった」と胸をなで下ろす。気掛かりなのは学校の再開日だ。市は休校を10日までとしており「まだ学校に行かせるのは怖い。ゴールデンウイーク明けの2週間は休みにしてほしい」と訴える。
 小学4年と1年の娘がいる長崎市松原町の女性会社員(37)も「より安全な方がいい」と明かす。在宅勤務になり休校中の子どもと過ごす時間が増えた。「宿題を見るなど子どもの勉強と向き合う機会になり、家族で協力してできる限り楽しみながら過ごしたい」と前向きに捉えている。
 宣言では県境を越える移動が制限され、仕事に影響を及ぼす。造船関係の会社に勤める佐世保市の男性(59)は「出張ができず、仕事が思うように進まない」と言う。取引先は県外が中心。宣言後は行けなくなり、商談が延期になっている。「長引けばどうなるか…」と不安を口にした。
 一方、雲仙市吾妻町の販売員、秋山いさよさん(65)は「収束まで徹底的に外出自粛を続けてほしい」と求める。「コロナは目に見えないので本当に恐ろしい。福岡県内に住む長男夫婦や小学生の孫たちにも『来ないで』と言っている。寂しいが、仕方ない」と耐える日々が続く。

 


© 株式会社長崎新聞社