対応に限界、「3密」回避など… コロナ影響で学童保育にジレンマ

学校から学童保育に向かう子どもたち=諫早市多良見町

 長崎県内の放課後児童クラブ(学童保育)が悲鳴を上げている。新型コロナウイルス感染拡大で学校の臨時休校が続く中、学童保育の多くが朝から夕方まで開所。人手不足は深刻で、子どもを預かる児童支援員たちは感染対策にも神経をすり減らし疲弊している。
 長崎県内で臨時休校が始まった3月2日以降、佐世保市内のある学童保育は連日、朝8時から夕方6時まで運営している。通常は午後2時半開所。休校以後、4人の支援員が交代で、いつもの倍以上働いている。
 「休ませてあげたいのに休ませられない」。代表の男性は漏らす。支援員を雇おうにも、こんな時期だから人は集まらない。休校中に子どもを外で遊ばせるのもはばかられ、どうしても屋内で密閉、密集、密接の「3密」状態になる。
 「もし感染したら重症化するかも」。60代のベテラン支援員は日々おびえながら子どもたちの世話に追われている。代表の男性がジレンマを口にする。「学童が頼りにされているのは分かる。でも子どもの安全を第一に考えるなら、狭い室内に子どもを詰め込むべきではないのだが…」
 こうした状況を受け、佐世保市の学童保育でつくる県北地区児童クラブ連絡協議会は4月27日、家庭での保育が難しい小学1~3年生について、学校での受け入れを求める要望書を市に提出。立石武久代表世話人は「学童の終日保育は限界だ」と指摘する。市は「前向きに対応を検討している」という。
 県によると、県内に学童保育は392。登録児童数は約1万8千人(昨年5月1日時点)。休校以降、県はできる限り家庭での対応を要請しているが、都市部のように制限などはしていない。
 このため、自治体によっては学童と学校が連携して子どもたちの受け皿をつくる動きが出ている。諫早市もその一つ。「学童で『3密』を回避するのは難しい」として、市学童保育連絡協議会(46クラブ)が4月下旬、加盟クラブに対し「閉所」を求める事態も起きたが、現在は学校と学童の協力態勢ができているケースもある。
 同市多良見町の市立喜々津小(509人)は校区内の五つの学童と連携。預かりを希望する1~3年生について、午前中は学校で教員が面倒を見る。4時間の自主学習を終えると、子どもたちは正門前に整列。教員から“引き継ぎ”を受けた支援員がそれぞれの学童に連れて行く。
 連携する学童の一つ、社会福祉法人喜々津福祉会の山口健一理事長(同協議会長)は「(学校と連携できていなかった時は)支援員たちの負担が重かった。今は学校が学童への意識を持ってくれてよかった」と話している。

 


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