大規模噴火へ備えを 相模原、予知連会長が講演会

 防災意識の向上につなげようと、火山噴火予知連絡会(噴火予知連)の藤井敏嗣会長(東大名誉教授)を講師に招いた「防災講演会」が21日、相模原市緑区の杜のホールはしもとで開かれた。市防災協会の主催。

 藤井会長は「日本の火山活動の現状と今後」と題して講演し、御嶽山(長野、岐阜県)や口永良部島(鹿児島県)など近年噴火した国内の火山の状況を紹介。噴火予知の難しさや、いざというときの備えの大切さを強調した。

 2000年に起きた有珠山(北海道)の噴火では、事前に火山性地震が活発化したことなどから、噴火予知連が「噴火する可能性が高い」と予知し、住民避難につなげて一人の死者も出さず被害を最小限に食い止めた事例がある。

 一方で藤井会長は、14年9月に起きた御嶽山の噴火では事前に噴火の兆候を捉えられず、明確な前兆があったのは噴火のわずか11分前だったことを紹介。「経験則による噴火予知には限界がある」と指摘した。

 また、日本では江戸時代以降毎世紀、大噴火が起きていたが、1914年に桜島で起きた「大正噴火」以降大きな噴火が起きていない状況を示し、「21世紀中には大規模噴火が発生すると想定すべき」と警戒を呼び掛けた。

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