【MLB】家族3人殺害の悲劇から8か月… レイズ有望株が語る胸中「2度と顔を見られない」

家族3人が殺害されたレイズ傘下2Aモンゴメリーのブレイク・ビベンズが当時の心境を明かした【写真:Getty Images】

昨年8月に妻ら家族3人を失ったレイズ傘下2Aモンゴメリーに所属するブレイク・ビベンズ投手

昨年8月に妻ら家族3人を義弟に殺害される悲劇に見舞われた、レイズ傘下2Aモンゴメリーに所属する若手有望株のブレイク・ビベンズ投手。事件発生後、SNSで「心が灰になった」と語るなど、心に深いダメージを負っていた。事件から8か月が過ぎたビベンズに対して、地元紙「タンパベイ・タイムズ」はビベンズにインタビューを行い、今もなお鮮明に残る“長い1日”の記憶を記事で明かしている。

妻のエミリーさん、1歳の息子のカレンちゃん、そしてエミリーさんの母の3人を失ったビベンズ。事件当日の朝、日課となっていた妻からのテキストメッセージが届いてなかったことに不安を覚え、その後2Aの遠征試合に向かっている最中も一向に連絡が来ないことに、ビベンズの不安は増すばかりだったという。

SNS上で義弟が逮捕された情報を知り、嫌な予感がしたビベンズは球団上層部に連絡。自宅に戻るため、すぐさま飛行機のチケットを手配してもらい、空港に向かったという。地元の空港についても家族と連絡が取れず「最初に見たトップ記事は、女性2人と子供が死亡となっていた。すぐに彼らのことだとわかった。空港のど真ん中で、僕は思わず叫び始めるしかなかった」とビベンズは記事で語り、突如として家族を失った悲しみに崩れ落ちたとしている。

ビベンズにとっての本当の苦しみは、フライトを終えて自宅に戻った時に訪れた。「帰宅して息子の寝室に(事件後)初めて入ったときに、もう2度と彼の顔を見ることができないとわかったことだった。僕の人生で最悪の時間だった」。癒しを与え続けてくれた最愛の家族を失った現実を、ビベンズが心底実感した瞬間だったとしている。

悲劇から8カ月の間ビベンズは鬱状態などの精神的ダメージを抱えるも、敬虔なクリスチャンであることから、祈りを捧げることで「怒りや憂鬱な精神状態、そして『なぜこうなってしまったんだ』と自問自答したくなる気持ちに対処できた」と語ったいう。そして、事件当日に遠征先から空港にビベンズを送り、意気消沈しているビベンズに寄り添うためにフライトに同乗してくれたモーガン・エンスバーグ監督に対しても感謝したことに言及している。

「その一日の出来事を、僕は信じられないほど鮮明に覚えている」。記事の最後でこう締めくくったビベンズにとって、8カ月前の“悪夢”は消えることはない。しかし、現在新型コロナウイルスの影響で中断されているシーズンが再開されることを願い、トレーニングに励み続ける。(Full-Count編集部)

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