「街から人消え」 長崎のタクシー運転手苦境 給料半減、ため息深く

閑散とした繁華街で客を待つタクシー=3日午前0時45分ごろ、長崎市本石灰町(画像は一部加工しています)

 新型コロナウイルス感染拡大で長崎のタクシー業界も苦境に立たされている。例年なら書き入れ時の大型連休中も人出が少なく売り上げは上がらない。「日々、迷走している」。運転手たちのため息は深い。
 「悲惨な状況。希望も見いだせない」。40代の男性運転手は苦り切った表情でこう語る。
 運転手歴6年。4月7日に7都府県に緊急事態宣言が出てから、長崎でもめっきり人通りが減った。会社から勤務時間を1時間延長して売り上げを伸ばすよう指示されたが、どうしようもない。夜の繁華街を回っても客はいない。「スナック、居酒屋、パチンコが次々に休業し、街から人が消えてしまった」
 営業成績は社内トップクラスだったが、4月は入社以来初めて1日の最低ノルマを下回った。給料は歩合制。手取りは10万円ほどに下がった。貯金を切り崩して家族を養っている。「この年齢では転職も難しい。高校生の息子がいるので、少しでも多く稼ぎたいが一体どうすれば…」
 同僚の60代男性運転手も状況は同じ。「元日が毎日続いている感じ」と言って弱々しく笑う。給料は半減し、会社から大型連休中は休むように要請されたが断ったという。「補償もない中で『はい、そうですか』とは言えない。緊急事態宣言や休業要請が一日でも早く解除されれば、少しは違うのかもしれないが」。男性はそう言って、再びあてどもなく車を走らせた。


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