後悔している消費は? 外出自粛期間中に支出を把握する

今回の外出自粛期間というものは、実は「自分がいかに無駄金を使っていたか」が分かる良い機会だったと捉えてみると少しは救いがあります。会社が頑張ってくれているお蔭で給料の額が維持できている方にとっては、今の時期は無駄を洗い直すチャンスです。


コロナが自らを振り返るきっかけに

たとえば、飲み会の帰り、「小腹がすいたな」とコンビニに寄ってお菓子とさらに追加のビールを買っていた人。バナー広告で登場したサプリメントの「今なら3980円!」とか必要がないにもかかわらず「3個買えば1個無料」などの誘いに乗っかった人。 公営ギャンブルで周囲の興奮に押される形で一世一代の博打を打ってしまいうなだれる人……。

今回の自粛はこれまでのこうした行動、「貯金を増やす」という目的においては愚行といっても良いものがどれだけあったかを知ることができたことでしょう。お金の使い方が分かった場合は、「もっと子供の教育にお金をかけるべきだった」や「妻の生活の満足度向上のためにお金を使うべきだった。なんでオレはいきがって会社の部下にあんなに気前よく奢っていたのだろうか……」のような気付きがあるかもしれません。

レシートを保管しよう

今の時期、レシートをすべて保管することをお勧めします。あとは家計簿アプリを使っていたり、クレジットカードの明細も必ず届くものですから、今年3~4月の2ヶ月と1~2月、もっといえば今年3~4月と前年の3~4月と比較すれば何が減ったかが一目瞭然。

明らかに異なる項目の支出が多いことが分かるはずです。 それは、「ゴルフの新しいクラブを買った」とか「ガソリン代」「飲み代」「ギャンブル代」など様々です。

ここで考えていただきたいのが、2020年春のこの禁欲生活がどこまで自分にとって苦痛だったか?という自問自答をすることです。「そこまで苦しくなかったな……」と後で思えるのであれば、コロナ終息後の散財は無駄なものです。この春のレベルの生活はやろうと思えば苦痛を伴わずともできるんです。

自分にとっての娯楽は飲み会でしたが、今やすっかり「家飲み」になり、あとは本を多く読むようになりました。北方謙三の『三国志』全13巻、知り合いの出版社社長が「オレの人生を変えた本だ」と力説していた船戸与一『残夢の骸 満州国演義』全9巻を読み始めました。前者は中古で4300円、後者は社長がプレゼントしてくれたものです。

北方謙三の方は、これまで吉河英治と横山光輝の作品しか読んでいなかった中、新たな解釈を与えてくれ、船戸与一の方については「人生のあり様・苦労の仕方」的なことを考え直させました。それと同時に、これまでの人生で何が重要だったのかな……ということに思いを馳せるようになりました。以下、5つの消費は重要でした。

【1】本:『商売心得帖』(松下幸之助)、椎名誠、東海林さだおの数々の著書――今の仕事に生きている
【2】旅行:海外に年1回は必ず行くこと――日本が恵まれていることを知れるとともに、海外の天才的な人とも会えた
【3】ゲーム機:ファミコン、スーパーファミコン、PS2、ニンテンドー3DS――反射神経、記憶力などが鍛えられるし楽しい
【4】パソコン:これまでに10台買った――これがなくてはまったくカネが稼げない
【5】靴:いくつもの種類を試した結果、MERRELのビジネスシューズに落ち着いて今はこれの3代目をはいている――快適に歩けることが心身にもたらす健康

後悔している消費

一方、「あれはどうでもいい消費だったな……」と思い返すものもありました。「その後縁が切れた人間に貸したカネ」「複数揃えていたメガネ」「見栄のために慌てて買ってしまったマンション(すぐに手放した)」「学生時代の友人の結婚式」などです。

結婚式自体は否定するものではないのですが、学生時代の友人って多分卒業の段階でもう関係性はほぼ終わっているんですよ。結局社会人になったら仕事を通じた友情の方が深まるし、別の業界へ行ってしまった友人とは話がもう合わなくなります。招く側としても「『学生時代の友人』テーブルがないってのもなんかオレ、昔友達いなかったみたいだなんぁ……」なんて無理矢理4人ぐらい呼んだりするものです。

人間って不思議なもので、たくさんお金を使ったことが分かっている月は明細とか見たくないんですよね。しかし、逆にあまり使わなかった時はその明細を見てニヒヒと笑ったり、お金をATMでおろした時に思いの他残額が多かったりすると嬉しくなる。この2ヶ月、幸いなことにニヒヒ、となったので、コロナ禍が収束したら色々ストレス抱えたであろう若者から「飲み行きましょうよ!」のお誘いをしてもらったら気前よく払おうと思います(どうせ安酒場ですが)。自分の消費行動が“見える化”をされ、本当に重要な消費とそうではない消費が仕分けできたことは今後の長い人生においては有難い時期となったのでした。

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