長崎停泊クルーズ船乗員入院 医療者の宿泊施設を要望 

 新型コロナウイルスの集団感染が発生したクルーズ船コスタ・アトランチカの陽性患者が入院している長崎市内の指定医療機関、長崎大学病院と長崎みなとメディカルセンターは7日までに、治療などに当たっている医師や看護師らの宿泊施設を確保するよう県に文書で要望した。万が一、患者から感染した場合に備え、自宅の家族への感染を防止するのが狙い。県は対応を協議している。

 文書は先月27日付。大学病院の中尾一彦病院長と同センターの門田淳一院長が連名で、中村法道知事宛てに提出した。クルーズ船の集団感染では長崎大熱帯医学研究所が乗組員623人の検体を調べ、149人の感染を確認。うち5人が大学病院と同センターに入院している。
 文書によると、クルーズ船で発生した「爆発的な感染者の増加」に伴い、「患者の診療や検査を担当する職員は、自らの感染のリスクにさらされている」と強調。「同居の高齢者や子どもへの感染の不安を抱え、帰宅を躊躇(ちゅうちょ)する職員も少なくなく、宿泊施設の確保に強い要望がある」としている。一般の宿泊施設を利用した場合、施設スタッフや他の客に感染させた場合を考えると、それさえもためらわれるという。
 大学病院によると、院内には研修医用の宿泊施設があり、こうした職員のため10部屋を確保。長崎市内で初めて感染者が確認された4月中旬以降、約20人が交代で利用しているが、今後、入院者の増加に伴い医療スタッフも増え、部屋が不足する可能性があるという。一方、同センターは宿泊施設を長時間勤務の医師らの休憩場所としても活用したい考えだ。
 県は1日の県議会臨時会で可決された本年度一般会計補正予算に関連経費を計上。7日の会見で中田勝己福祉保健部長は「安心して治療に専念できる環境が非常に大事。どのような態勢を取ることができるか医療関係者と協議している」と述べた。

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