【#今こそひとつに】「私、明日NY便です」―コロナ禍で岩本勉氏が感動した客室乗務員の“覚悟”

野球解説者の岩本勉氏【画像:「HEARTS AS ONE」プロジェクト】

元日本ハムのエースで野球解説者の岩本氏を感動させたプロ意識

新型コロナウイルスが世界中で猛威を振るう今、各地では「STAY HOME」の動きが広がっている。一方で、この厳しい状況の中でも医療従事者をはじめ、社会のインフラを支える人々は、見えない敵が迫る最前線に立ち、私たちの日々の暮らしを支えてくれている。こんな状況だからこそ、身近にいる「命を支える人」「生活を支える人」「社会を支える人」に対し、感謝の気持ちを抱いた瞬間があるのではないだろうか。

「Full-Count」では、野球を好きな人が、感謝の気持ちを発信する特別連載【#今こそひとつに】をスタート。リアルな感謝の声をメッセージ動画とともにお届けする。

第2回は、現役時代は日本ハムの元エースとして活躍した野球解説者の岩本勉氏だ。

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周囲をパッと明るく照らす元気いっぱいのトークでおなじみの岩本氏は、阪南大高から1989年ドラフト2位で日本ハムに入団。16年の現役生活では開幕投手を4度務めるなど、エース右腕としてチームを牽引した。時速140キロ台中盤のストレートと100キロ前後のスローカーブで打者のタイミングを外し、近鉄のいてまえ打線で鳴らしたタフィ・ローズらを翻弄。お立ち台では「まいど!」というおなじみのフレーズで人気を博し、ファンから「ガンちゃん」の愛称で親しまれた。

2005年を最後に現役を退き、野球解説者に転身した後も、軽快なトークでファンを魅了し続ける岩本氏が今、感謝の気持ちを伝えたいのは「飛行機の客室乗務員」だという。

岩本氏が話しかけると客室乗務員は…「私、明日ニューヨーク便です」

仕事の都合上、普段から日本各地を飛び回る生活を送っているが、4月7日に政府から緊急事態宣言が発令される前に「どうしても移動が強いられる状況」で飛行機に搭乗した時、こんなエピソードがあったという。

緊急事態宣言が発令される前だとはいえ、日本では感染者が増加の一方をたどり、他人との接触をできる限り避けるように注意喚起が促されていた。そんな中、不特定多数の乗客と接する客室乗務員の感染リスクは高く、不安な気持ちを抱いていただろう。だが、岩本氏が飛行機に乗り込むと、普段と変わらぬ笑顔で接してくれたという。

「思わず私が『大変なお仕事ですけども頑張って下さい』という声を掛けさせてもらったところ、逆に『こんな中、ご搭乗いただきありがとうございます』という言葉までいただき、恐縮した次第です」

さらに、岩本氏が「国際線の方も大変ですよね」と話しかけると、客室乗務員から驚くような言葉が返ってきた。

「その方が『私、明日ニューヨーク便です』と。その当時、ニューヨークでは大変なことになっていたんですよね。感染者の数も多かったですし、医療崩壊ですか。そういうニュースが世の中に飛び交っている中でも、その方は『私たちの使命ですし、覚悟してこの仕事に携わっております』と、すごく気丈なまでもの発言をいただいたんですね。強い心を持ったその方のおかげで、安心とともに、そのフライトに携われたことに、すごく感謝の気持ちを覚えました」

客室乗務員が見せた“プロフェッショナルな姿勢”に感動を覚えた岩本氏は、便数が減少したとはいえ、今なお運行するフライトの中で職務を全うする客室乗務員、そして航空業界の人々に感謝の気持ちを伝えたいという。

「お仕事を全うされている客室乗務員の方、そしてそこに携わるいろんな関係のお仕事をされている方に、本当に心の底からありがとうをお伝えしたいと思います。また緊張がほぐれて、本当の意味での笑顔で再会できることを祈っております」

岩本氏からの「ありがとう」、客室乗務員の皆さんに届けます。

○Full-Countでは、特別連載【#今こそひとつに】をスタートさせました。新型コロナウイルスの感染拡大で社会状況が厳しい中、誰もが「命を支える人」「生活を支える人」「社会を支える人」に感謝の気持ちを抱いた瞬間があると思います。医療従事者や社会インフラの維持に尽力する人たちにその思いを届けたい――。人と人との“距離”が遠い今だからこそ、みんなの心をひとつにしたい――。頑張る人たちにエールと感謝の気持ちを届けるため、様々な「声」を発信していきます。(佐藤直子 / Naoko Sato)

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