新型コロナで家計が急変!大学の学費が支払えない場合どうすればよい?

新型コロナウイルスの感染症の影響で、大学の行事、授業、説明会が中止となっています。一方、収入が大幅に減ったりして、今後の学費の支払いに不安を抱えているご家庭もあるでしょう。

今回は、お子さまが在学中に家計が急変してしまった場合にとりうる手段についてお伝えします。


予想外の事態で授業料が払えないかも…どうすればよい?

新型コロナウイルス感染症の影響を受けた方に対しては、さまざまな支援策が打ち出されています。大学生のいるご家庭が利用できる給付型奨学金をご紹介します。

これまでの世帯の収入から考えて、奨学金は利用できないと決めつけず、まずは奨学金の利用ができるか調べてみましょう。新型コロナウイルスの感染症など予測できない事由家で計が急変し、学費など支援が必要になった場合にも、2020年4月からの高等教育の修学支援新制度の利用を申し込むことができます。

給付型奨学金に加えて授業料の減免も認められ手厚いのが特徴です。ただし、家計の収入に関する要件が厳しいため 給付型の支援を受けられる高等教育の修学支援新制度の要件を満たさない場合には、貸与型を検討してみましょう。

早めに大学やJASSOに問い合わせましょう

大学自体にも家計の急変に対する援助制度がある場合があります。早めに大学や独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)の奨学金相談センターに問い合わせてみましょう。一定期間構内へ入れない大学もあり、電話またはメール・郵送により対応せざると得ない状況です。しっかり確認して手続きを進めましょう。

それでは、確認のポイントをご紹介します。

家計急変の事由と支援の内容

(1)家計急変の事由とは
新型コロナウイルス感染症の影響で家計が急変した事由として認められるのは以下のとおりです。

資料:独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)「新型コロナウイルス感染症への対応について」をもとに執筆者作成

自営業で受注した仕事がなくなってしまい事業継続が難しい方、勤務先の休業で働ける時間が大幅に減ってしまう見込みの方などは、Dに該当する可能性があります。

今後の収入見込額から高等教育の修学支援新制度が適用される「住民税非課税世帯およびそれに準じる世帯」に相当するかどうかが判断されることになります。

提出書類は、新型コロナウイルス感染症の影響であること、収入が急に下がる見込みであることの2点を証明できることが必要です。家計急変での高等教育の修学支援新制度の申込期限は事由発生から3カ月以内とされています。

どんな証明書であれば認められるか、早めに大学またはJASSOの奨学金相談センターに相談してみましょう。

(2)世帯の資産状況も要確認
注意が必要なのは、収入見込額から住民税非課税世帯およびそれに準じる世帯に相当すると認められても、多額の貯金がある場合などは利用できません。

学生およびその生計維持者の保有する預貯金や有価証券など資産(不動産は除く)の合計額に基準が設けられています。生計維持者が1人の場合は資産が1,250万円未満、2人の場合は2,000万円未満であることが必要です。

(3)貸与型の奨学金も利用可能
家計の急変があったしても収入見込額が高等教育の修学支援新制度の基準を満たさない場合、貸与型の奨学金に緊急採用・応急採用に応募することもできます 。

貸与型ですから、貸与終了後7カ月目から返済をしなければなりません。 利用するかどうかは慎重に検討しましょう。

このように、これまで対象外だった生徒も、新型コロナウイルスの感染症の影響により家計が急変してしまった場合の救済があります。ただし、給付型も貸与型も3カ月毎(急変事由発生から15カ月経過後は1年毎)に収入状況が確認され、支援内容が見直しされます 。一度支援が認められると卒業までずっと続くとは限らないことを踏まえて、今後の計画を立てましょう。

給付型奨学金「高等教育の修学支援新制度」について知っておこう

新型コロナウイルスの感染症の影響に家計が急変した家庭の生徒への支援についてみてきましたが、高等教育の修学支援新制度の内容を確認しておきましょう。

(1)高等教育の修学支援新制度は手厚い給付型
高等教育の修学支援新制度では、住民税非課税世帯及びそれに準ずる世帯の学生(既に大学等に在学している学生も含む)に対して、次のような2本立ての支援があります。

・授業料・入学金の減免
・給付型奨学金

下表は、住民税非課税世帯の学生(昼間大学)が支援を受けることのできる授業料免除免除と給付奨学金の金額となります。

表1:住民税非課税世帯の学生が昼間大学に通う場合

,small>資料:文部科学省「高等教育の修学支援新制度に係る質問と回答(Q&A)」をもとに執筆者作成

上限いっぱいまで支援を受けられれば、国立大学の場合なら入学金・授業料が無料になり、給付型奨学金も利用できます。経済的な理由から大学進学をためらっていた学生には、心強い内容です 。

(2)世帯の住民税額によって支援は段階的に減っていく
住民税非課税世帯だけではなく、それに準ずる世帯の学生に対しても支援はあります。支援額がいくらになるかは、世帯の住民税額を基準にして3つに区分され決まります。

世帯の収入が上がると住民税額が上がり、支援額は段階的に減少していきます。住民税非課税世帯に準ずる世帯の学生は、住民税非課税世帯の学生の2/3又は1/3の金額となります。

図:世帯の収入によって支援は段階的に減少

出典:文部科学省【大学生等対象】リーフレットをもとに編集部作成

会社員の父・専業主婦の母・大学生・高校生4人世帯の例では、年間収入300万円までなら上限いっぱいまで支援を受けられますが、収入目安は家族構成や収入で異なります。また、基準額の範囲内であるか両親など学生本人と生計維持者の合計で判定されることも注意しましょう。

また、家計急変の場合と同じく、世帯の保有する資産の合計額が、生計維持者が1人の場合は1,250万円未満、2人の場合は2,000万円未満であることという条件もあります。

貸与型奨学金はどんな内容?

貸与型は、貸与が終わったら返済する借りるタイプの奨学金で、JASSOでは、利子がない第一種と利子のある第二種があります。世帯の収入に対する要件が返済の必要がない給付型ほど厳しくなく、利子のある第2種はより緩やかです。

表2:貸与型奨学金(国公立大学の場合)

※2020年4月からの高等教育の修学支援制度の給付奨学金と併せて第一種奨学金の貸与を受ける場合、貸与月額の上限額が制限される
資料:独立行政法人日本学生支援機構「奨学金の制度(貸与型)」をもとに執筆者作成

借りたからには、卒業後には返済の必要があります。仮に月額30,000円で無利子の第一種で貸与型奨学金を4年間利用した場合、144万円の返済義務を学生本人が負うことになります。

JASSO以外にも大学独自の奨学金制度などもあります。積極的に情報を集め、給付型奨学金を検討してから、貸与型奨学金は卒業後の返済についても考えて利用しましょう。

新型コロナウイルス感染症の影響を受けた方へ教育費以外の支援策

新型コロナウイルス感染症の影響により国民年金保険料の納付が困難になった場合には、免除の制度が適用できる場合があるとしています。他にも、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた方への支援策として、たとえば東京都では担保や延滞金なしで都税の1年間の納付猶予や国民健康保険料の減免など、自治体ごとの取り組みも行われています。

支援策を上手に活用し、資金繰りを工夫していきましょう。

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