ヤンキースのトーレス獲得は元有望株左腕の放出から始まった

今や球界を代表する若きスター遊撃手へと成長したグレイバー・トーレス(ヤンキース)だが、もともとはカブスのマイナーにいた有望株であり、2016年7月にアロルディス・チャップマンをトレードでカブスへ放出した際、交換要員の4人のうちの1人としてヤンキースに加入。ヤンキースがトーレスを獲得するまでの軌跡を辿っていくと、そのスタート地点となっているのは2012年に「MLB Pipeline」のプロスペクト・ランキングで全体13位にランクインしたこともある元有望株マニー・バニュエロスの放出だった。

2008年3月末、ヤンキースは左腕バニュエロスと契約。2011年には20歳にして早くもAAA級に到達し、殿堂入りの名クローザー、マリアーノ・リベラが「自分が今までに見てきたなかでベストの有望株投手の1人」と語るほど、大きな期待を背負っていた。

2012年には「MLB Pipeline」のプロスペクト・ランキングで全体13位、左腕では2位という高評価を受けていたが、トミー・ジョン手術を受けるなど故障に悩まされ、ヤンキースは2015年1月、デービッド・カーペンター、チェイセン・シュリーブの2投手とのトレードでバニュエロスをブレーブスへ放出した。

2015年6月、ヤンキースはカーペンターをナショナルズへ放出し、トニー・レンダを獲得。同年12月末にはレンダ、エリック・ジャギエロ、ケイレブ・コーサム、ルーキー・デービスの4人をレッズへ放出し、チャップマンを獲得することに成功した。

翌2016年、チャップマンは防御率2.01、21度のセーブ機会で20度成功と期待に応えていたが、悲願のワールドシリーズ制覇に向けてブルペン強化を目指すカブスがチャップマン獲得を希望。ヤンキースはトーレス、ビリー・マッキニー、ラシャド・クロフォード、アダム・ウォーレンの4人とのトレードでチャップマンをカブスへ放出し、ここに「ヤンキースのトーレス」が誕生した。

カブスの世界一に貢献したチャップマンは、同年オフにフリーエージェントとなってヤンキースに復帰。トーレスは2018年にメジャーデビューを果たして同年24本塁打、昨季は38本塁打を放ち、一躍スターダムにのし上がった。トーレスはまだ23歳。今後もヤンキースのスター遊撃手として長く活躍を続けていくことだろう。

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