支え手へのエール

 日本チェーンストア協会の「第8回チェーンストアお買い物川柳」の応募作を読むと、スーパーなどの小売店がどれほど消費者の暮らしの支えとなっているのかが伝わってくる▲入賞作の一句「前は母今は子と行く同じ店」は、長年にわたり店と利用者の間で築かれた絆が感じられる。「あのストア我が家の倉庫命綱」と詠んだ人もいた▲なじみの店の休廃業のショックは思いのほか大きいものだ。「便利さを改めて知る閉店時」の句に共感し、「いつものをいつもの店で買える幸」にうなずく人は多いだろう▲コンテストは昨年11~12月に募集し、日常の大切さや買い物の楽しさ、消費増税にちなんだ句など4万を超える応募があった。では今、募集をしたら、どんな作品が集まるだろうか。コロナ禍の中で利用者の思いはまた深まっているに違いない▲生活必需品を取り扱う小売店は緊急事態宣言下でも事業継続が求められ、店員は感染のリスクを背負って仕事をしている。そうした社会生活の維持に欠かせない働き手への感謝の念も改めて感じているのではないか▲今回も店員との関係性を詠んだ句がある。「いらっしゃい交わす言葉に和が育ち」「今日もまたレジで元気をもらいます」。そうした利用者の思いは、過酷な環境で働く人たちを支えるエールとなるだろう。(久)

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