「できるだけ早い出港を目指す」 長崎停泊クルーズ船集団感染で運航会社

 長崎市の三菱重工業長崎造船所香焼工場に停泊中のクルーズ船コスタ・アトランチカ(イタリア船籍、8万6千トン)で新型コロナウイルスの集団感染が発生した問題で、運航会社コスタクルーズは9日までに、長崎新聞社の取材に文書で回答し、「できるだけ早い出港を目指す」とした。感染の原因や経路に関しては具体的な言及を避けた。
 陰性乗組員の帰国については「引き続き安全に十分注意した上で進める」と強調した。県によると、陽性も含め船内に残っているのは396人(ほか入院6人)。県は陽性乗組員の帰国に向けても国やコスタ社と詰めの協議をしている。船を動かすために最後まで残す乗組員数について、コスタ社は非開示とした。
 コスタ社は乗下船時に検温や健康チェックを実施したが感染を防げなかった。この理由を尋ねたところ、「社会における感染症の状況を注視している。乗組員の健康を守るために国内および国際機関の指令や規制に準拠し、船上規制に幾つかの手順を迅速に実施している」と対応をアピール。感染経路の分析については「推測についての回答はできない」と述べるにとどめた。
 集団感染問題を巡っては、三菱重工と長崎市が4月29日、共同会見を開き、乗下船歴など調査結果を公表したが、コスタ社は三菱の要請に応じず欠席した。理由について「弊社はグローバル企業であり、適切に正確に回答するため中国、イタリア、米国に拠点を置く人々からの情報が必要になる」と釈明した。

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